孤独な島と孤独な男の恐怖物語
若干の読みにくさが否めない上巻この「悪霊の島」は、上下巻ある長編物語である。物語の長さから言うと、「リーシーの物語」や「11/22/63」と同じくらいだと思う。そしてこの主に上巻のほうは翻訳本独特の読みにくさが多く、読み進めていくのに若干のつらさを感じた。この傾向は最近では「リーシーの物語」で特に顕著に感じられ、昔のスティーブン・キングの作品には感じられなかったことから、最近の彼の文章自体が翻訳者泣かせのものなのかもしれない。そう感じる理由のいくつかの一つが、スペイン語を織り交ぜて話すワイアマンのセリフの書きかたにあると思う。日本語の横にルビでスペイン語の発音を併記することでなんとなくの異国感は感じられるものの、読み手としてはそのペースをどうしても乱されてしまう。本当に物語に入り込んでいるときは、文字とか漢字とかいったものがその枠を超え意識せずに頭の中に像を結んでいるので、その文章に変...この感想を読む
3.03.0
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