哲学は時代のダイナミズムに近接するのだ
主人公の私
理解が深まる小説レビューサイト
小説レビュー数 3,368件
村上春樹長編作品のヒロイン像、ここに完成村上春樹小説の長編作品は主人公が男性で話が進むため、協力者、理解者、愛の対象としてのヒロインがすべての作品に登場する。しかし、村上氏特有の世界感があって「闇」「悪」「死」などが描かれ、暗い側(あるいは特殊な側)に存在するヒロインと現実社会側に普通の女性として生きるヒロインというダブルヒロイン体制で展開するケースが多い。わかりやすい例が「ノルウェイの森」の直子と緑だ。「闇」にとらわれた直子を愛し、守りたいと思うのだが、同時に通常社会に生きる緑にも惹かれていく。「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」では太った娘と図書館の女の子、「国境の南、太陽の西」では島本さんと有紀子もそれに相当する。 ダンス・ダンス・ダンスでは特殊な力を持つユキと現実社会に生きるユミヨシさんという構図は他作品と同様にダブルヒロイン体制だが、ユミヨシさんにフォーカスすると、...この感想を読む
「文化的雪かき」という言葉が印象的な前半部分物語は「羊をめぐる冒険」の続編といった形で進んでいく。フリーライターである主人公は決して怠惰な人物でなく、納期は守り丁寧な仕事をしているが、それでも自身の仕事に誇りをもてないようで、自分の仕事をあえて「文化的雪かき」と呼ぶ。好きでも嫌いでもないが、誰かがしなくてはならない仕事。(初めてこの本を読んだとき、この言葉をとても気に入ったことを覚えている。)さておき、その「雪かき」を放り出して、舞台は札幌の町に移り、そこで昔の知り合いである娼婦のキキに会うために(ちなみに彼女は「羊をめぐる冒険」でのキーパーソンで耳のモデルもしていた。)いるかホテルというホテルを探す(このいるかホテルは「羊をめぐる冒険」ででてきた。そこには羊男が住んでいる。)のだが、読み進めていくにつれ、この主人公が「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」の主人公と同一人物であるこ...この感想を読む
主人公の私
ドルフィン・ホテルが立派になった記事について読んでいるときに考えたこと。
主人公の私
暗闇の中で久しぶりに羊男と出会い、会話しているところ。