村上春樹,河合隼雄に会いにいくのあらすじ・作品解説
村上春樹,河合隼雄に会いにいくは、村上春樹と河合隼雄による対談集。1996年、岩波書店より刊行され、1999年には新潮文庫として文庫化された。 自身のアメリカでの体験や60年代戦争、オウム事件や阪神大震災の衝撃などを語る村上春樹に対し、河合隼雄は箱庭療法の凄みや、すべての人が独自の『物語』をもつことの重要性を説く。その内容は、当初の「ねじまき島クロニクル」について語るという目的を大きく上回り、「人々は歴史に対してどのように結びついていくか」から「結婚生活の勘所」にまでわたっている。現場最先端の両人の言葉からは、疲弊した日本社会が、今まさに前を向く転換期にあるということを浮き彫りにする。 この対談は1995年に京都で二晩かけて行われたものである。単行本の版元である岩波書店の編集者や、村上春樹の妻、村上春樹の作品の翻訳を手がけるジェイ・ルービンもこの対談に参加したのだが、この本には彼らの発言は取り除かれている。
村上春樹,河合隼雄に会いにいくの評価
村上春樹,河合隼雄に会いにいくの感想
注目の組み合わせの二人の対談。ちょっと時間が足りなかったかも…
日本の箱庭療法の権威、故・河合隼雄氏と村上春樹の対談集。「ねじまき鳥クロニクル」、「アンダーグラウンド」などを手がけた後の対談のため、春樹氏がよく使う「井戸を下りる」といったことについての話、オウム真理教事件の被害者・加害者との対話からの話など、興味深いネタが盛り沢山でした。…が、今一歩突っ込んだ内容には踏み込めていない感じがあります。春樹氏の発言は少し緊張が強めで、思わぬところを「しゃべらせられる」といった境地には至っていない気がします。下段欄外に傍注的な文章があり、それは親切でいいのですが、本文のなかでこの率直さがあれば…と何度も思いました。会う回数が足りなかったのが、深まりを欠いた原因かもしれませんね。この後お二人は再会することなく、河合氏は亡くなられてしまいました。もっと長く、量の多い仕事だったら…と悔やまれる組み合わせでした。
単なるインテリ
人気作家である村上春樹が、京都大学の名誉教授であり、「心の処方箋」の作者である河合隼雄といろんな話をするという内容です。まぁ、さすがに頭のいい人たちの会話という感じで、小難しい話を滔々と続けています。しかし、まぁ、いい大学を出たいわゆるインテリの頭脳ゲームみたいな内容です。小難しい文芸雑誌を呼んでいるような気分になります。世界の村上春樹ということで、もっといわゆるインテリとは違うようなことを話ししてくれるのかと思ったが、かなり幻滅しました。普通に小説書いていて欲しい。あと、文章が構成的にとても読みにくいので大変イライラします。読みにくい内容が更に読みにくくなっています。