森絵都 児童文学からの脱皮
森絵都の新たなる船出 一般文学初挑戦! 1990年から12年続けて来た児童文学を、森絵都はここで卒業(脱皮?)している。本作はあらゆる意味でその境界に位置する。まさにその時の彼女でしか書けなかった内容だと思う。物語は小学三年生から始まるので9歳くらい、エンディングでは明記されていないが20代後半と思われる。まさに本書の前半は児童について書き、主人公が中学、高校へと進み、ヤングアダルトと呼ばれる世代の事も描いている。成人して以降の事はわずかしか語られていないが、これらが単なる少女の成長物語なのか、というとそうではない。どの時代にも視点は成人した紀子なのだ。以下、本作の意味を紐解こう。ちょっとニガテな児童文学的な冒頭私は児童文学というジャンルがちょっとニガテだ。宮沢賢治のような普遍性のあるものは読みやすいのだが、本作以前の森絵都はちょっとポップすぎる、という気がしていた。美しいものを表現す...この感想を読む
4.04.0
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