アーモンド入りチョコレートのワルツのあらすじ・作品解説
アーモンド入りチョコレートのワルツは、1996年10月18日に講談社から発売された日本の小説である。作者は2006年に発表した「風に舞い上がるビニールシート」で第135回直木賞を受賞した女流作家の森絵都。絵はいせひでこが担当した。 シューマン「子供の情景」、バッハ「ゴルドベルク変奏曲」、サティ「童話音楽の献立表(メニュー)」…クラシック音楽を代表する名作曲家達の3つのピアノ曲にのせて、13歳・14歳・15歳の中学生達の切なくも幸せな一時を描いた短編集。第20回路傍の石文学賞を受賞するなど高く評価された作品。 発表から9年後の2005年6月25日には角川書店から単行本が刊行、さらに8年後の2013年12月12日には角川書店の児童書レーベルである「角川つばさ文庫」から、イラストレーター優の挿絵と直木賞作家の角田光代の解説をつけた文庫本が刊行されており、成人読者から児童読者まで幅広く親しまれている。
アーモンド入りチョコレートのワルツの評価
アーモンド入りチョコレートのワルツの感想
娘の姿と重ねます
娘が小5の時に買ってきた本です。塾の先生のお勧めでした。この方の作品は受験にも使われているとのこと。どんな内容なのか気になって、私も読んでみました。中学生という多感な年頃の女の子の心の揺れ動きや危さを音楽に乗せながら描いています。大人が思っているよりも大人びた部分と、思っているよりも幼い部分を併せ持っていたりする年頃です。娘はまさに今、その年頃です。生意気に見えたり、頼もしく思えたり、周りは翻弄されがちです。誰もが経験するその年頃のちょっと焦りや苛立ちにも似た気持ちがよく描かれていると思う一方で、少し難解な部分もあります。アーモンドチョコレートのような生き方・・・うまく言葉では言い換えられないけれど、素敵に心に残ります。
中学生の微妙な心理描写が素晴らしい
収められている3つの作品はどれも中学生が主人公で、あの年齢の微妙な心理状況がとてもリアルに描かれています。また、短編毎のタイトルはクラシックの名曲が引用されているのも印象的です。初々しくて、大人でも子供でもない(身体は子供でもしっかりとした意識を持った一個人である)彼等は短期間でグングン成長して冷静に世界を見つめているのです。シンプルでしつこくない文章や、細かな心理描写に溜息をつき、森さんが児童文学出身と言うのも大いに頷けます。『子供は眠る』歳を経る毎に「気をつかう」という事を覚える人間は、生き易さを求め傷つく事を恐れるようになるのではないだろうか。海の潮風と夏休み独特の日光の匂いの中で甘酸っぱさを感じるような作品です。主人公の「ぼく」が夏の最後に気付く、様々な事柄は、大人の私達の胸もキュンとさせてくれます。