死ぬんじゃない、俺は飛ぶんだよ
岩西
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小説レビュー数 3,368件
梶の秘書を追い詰めるシーンについて梶の秘書の追い詰められた理由が、現実にもありそうだと思いました。自殺専門の殺し屋が現実世界に存在し続けているのかもしれません。大物政治家の秘書が自殺するということはわりと昔は結構あったみたいですが、現代版だと、研究論文結果を偽り全世界に批判を受けて、なんとも研究者としてあるまじき発言を記者会見でしたり、挙げ句の果てに出家なんかまでした彼女がぱっと浮かびました。彼女の共同著者だった彼は自殺に追い込まれました。「誰かが責任を背負って自殺するというやり方はそれなりに効果がある」確かにそうだと思いました。連日騒がれていた事件もそちらの話題で持ちきりになりますから。殺し屋の実在有無はおいておいても、罪を犯した本人の代わりに人が自殺するんだから本人は心を痛めてるだろうと今まで思っていたけれど、実際は違うのかもしれないです。これで非難が収まる。面倒くさいことから逃れ...この感想を読む
結局ハッピーエンドなのか?グラスホッパーに出てくる三人の主人公のうち2人は作品中に死んでしまう。生き残ったのは鈴木だけである。この三人の主人公の名前も皆生き物の名前になっているあたりも伊坂の小説の遊び心を感じる(鈴木は魚のスズキ)。結局鈴木は自分の悲願であった会社への復讐を一応は果たしたこととなる。フロイラインは事実上壊滅した。最後のシーンでは家庭教師の営業を偽った家の兄弟と再会している。この描写から過去のしがらみと別れる鈴木の心情が読み取れる。これによって鈴木が過去の妻のための復讐から自分のために人生を送れるようになったっことも読み取れると考える。つまりハッピーエンドといえると思う。この作品には多くの亡霊が出てきて生きている人間を苛ませる。鯨や蝉も亡霊に苦しんだ。亡霊とは過去への後悔や懺悔の気持ちのことであろう。亡霊から解放されたときに本当に自由に生きれるというのはこの作品に共通するテ...この感想を読む
一度読みだしたら止まらないミステリー。この作品も、他の伊坂幸太郎作品同様、いくつかの人生が交差していく。押し屋、鯨、蝉、鈴木、スズメバチなど登場人物の設定も面白い。キャラクターは個性的で、漫画「魔王」「ワルツ」にも登場している。「そこがここにつながるのか!」と、びっくりするような伏線もある。伊坂幸太郎の作品は同じ様な手法で、キャラクターや設定を変えただけのものばかりだ。それでも一つ一つの違いがきちんとあり、退屈しない。それが伊坂幸太郎が天才だといわれる所以だろう。伊坂幸太郎も「いままでの作品で一番達成感があった」と発言している傑作だ。
岩西
自殺しようとする直前、殺し屋(自殺に見せかけて殺す)に向かって
ジャック・クリスピン
ジャッククリスピンは岩西という登場人物が尊敬している架空のミュージシャンで、「ジャック・クリスピン曰く」と彼の言葉を物語の中で引用しているうちの一つ。 部下の蝉が仕事を終えるときに、岩西から電話がかかってきてこの言葉を言うだろうと予想したもの。
鈴木の妻
主人公が危機的状況において亡くなった妻を思い出す回想シーン。