弱気なこと言う前に、ベストを尽くせよ。いまやれることは、ぜんぶやれよ
倉田俊介
理解が深まる小説レビューサイト
小説レビュー数 3,368件
「カシオペアの丘で」は2002年から2003年に信濃毎日新聞・山陽新聞などにて連載された重松清による長編小説である。 その後2007年に講談社より単行本化され、2010年に文庫化となった。 北海道が舞台の家族と幼馴染とのストーリーを描いた作品で、「カシオペアの丘」と名付けた炭鉱跡地における、過去の出来事・思い、今の生活、そして未来について登場人物がそれぞれの大切なものを見つける物語である。 主人公のシュンは妻と小学4年生になる一人息子との3人暮らしで、仕事も順調でマラソンという趣味もある。一般的に言われる「幸せ」な家庭を築いていると言える。そんなシュンにある時、かなり進行した癌が発見される。 そんな時30年来の幼馴染であるミッチョ・トシ・ユウとの再会を果たす。大人になった彼らはそれぞれがそれぞれの人生を過ごしていた。 30年前に起きたある事件をきっかけに4人の間に出来た溝にどう向き合うのか、そして今できること、未来に拓せるものは何なのか、悲しくもほんの少しの希望が持てるストーリーである。
4人の幼馴染が大人になって地元で再会する。小学生の時に車椅子生活になり、地元の遊園地で働くトシ。東京で付き合っていたシュンとミッチョはやがて別れ、ミッチョは地元に戻りトシと結婚する。シュンは東京で家庭を築くが、末期がんであることが判明する。テレビのプロデューサーであるユウちゃんが、幼女殺害事件の取材で遊園地を訪れるところから物語が始まる。テーマは「許されたい人たち」である。「生きるとは?」「人生とは?」「過去とは?」等、やや重いテーマが根底にある。答えのない問いかけをずっとされているように感じる。重い過去や辛い経験が自身の中にないのでピンとこないが、こんなにも大きなものを抱えている人間たちの「生」について思いを馳せてみた。「あなたの言っていることは正しい。でも正しさだけじゃないんだよ、ひとの気持ちって。」という台詞が印象的に残った。読後感は重いが、大人がじっくり読むのに良い。この感想を読む
倉田俊介
弱気なことを言った友達に対して励ますために言った一言
倉田俊介
人生というものがどういうものなのかを語った一言