終幕(フィナーレ)のない殺人の評価
終幕(フィナーレ)のない殺人の感想
内田テイストの古典的ミステリー
珍しい「閉鎖空間」でのミステリーアガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」のオマージュのような作品であるが、全国を飛び回って活躍している浅見が、陸の孤島と化した建物内での連続殺人に挑むという話はとても珍しい。同じようなシチュエーションとしては、豪華客船飛鳥内での「貴賓室の怪人」などがあるが、後から次々に新たな登場人物が出てくるミステリーと違い、限られた登場人物の中に犯人がいるという点に面白さがある。ミステリーとしては古風な形式の作品かもしれないが、先にプロットを作らずに小説を書く著者がどういう結末を考えているのか、閉鎖的だからこそのスリルを感じる作品である。登場人物が非常に個性的で目に浮かぶ書籍の文章というのは、紙に黒い活字が並んでいるので、一般的には色はない世界で、読んだ情景を脳内で変換することで読者は情景を楽しむものである。この作品は、招待客が有名人という事になっているせいか...この感想を読む