純平、考え直さないで!
あまり暗さを感じない主人公主人公の坂本純平は、確かに問題を多く起こしてきたチンピラであるのだけど、不思議に憎まれない若者である。21才と若いのもあってか、いくらすごんでみせても歌舞伎町では誰も怖がってくれず、むしろマスコット的に愛されているところからもそのことがうかがえる。彼が兄貴分と呼ぶ北島はその男ぶりだけでなく面倒見もよく、極道としてのかっこよさが遺憾なく発揮されている。北島を慕っている純平の描写もまるで子犬のようではあるが、家族の愛をあまり知らずに育った彼にとっては文字通りの兄貴だったのだろう。その彼が鉄砲玉として任命され、それを実行するまでの3日間が主なストーリーの内容となっている。もちろん鉄砲玉となって相手を殺せば、刑務所入りは免れない。それを覚悟の上の3日間なので、思い存分娑婆を満喫するための猶予であるのにあまり実感がないのか、読み手側が「今そんなことしなくてもいいのに」と...この感想を読む
3.53.5
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