だが、男も女も、誰でも必ず一度は子供であったことはあるもので、だから子供には残酷な仕打ちをすることができないのだ。
泥棒
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ステップファザー・ステップは宮部みゆき作の7話からなる連作の短編小説集である。「小説現代」に発表された5話と書き下ろし2話からなり講談社から1993年単行本として刊行された。2005年には青い鳥文庫としても刊行された。 泥棒である「俺」が仕事先への侵入に失敗し、その「俺」を偶然助けた直(ただし)と哲(さとし)という中学生の双子とのかかわりを「俺」が語っていく体裁をとっている。最初は弱みを握られた俺と脅迫まがいに協力を要請する中学生ながら頭の切れる底の知れない双子という関係から始まり「俺」の困惑が書かれている。しかし両親が別々に駆け落ちしてしまい双子だけで暮らす中で起きる小さな事件やエピソードを積み重ねながら徐々に打ち解けていき本当の父子のようになっていく3人の様子が描かれている。 読者の人気も高く、2012年1月よりTBSテレビ系列で連続ドラマとして11話放送された。主演の「俺」は上川隆也で双子たちは中学生から小学4年生に設定変更されている。
ミステリーというとどちらかと言うと暗いイメージがありがちですが、この作品は明るくて軽いです。泥棒と双子のキャラクターがとてもよい味を出しています。本来は悪役の位置づけの泥棒なのに双子の子供に手玉に取られてしまう間抜けさや双子の生きる力の強さが感じられ、飽きません。泥棒が段々本当のお父さんのようになっていくのが微笑ましく感じました。このままの生活が続いていって幸せになって欲しいです。読んだのは随分前だったと思いますが、双子が目玉焼き一つにソーセージ一本を添えた料理を一卵性ソーセージといって自分たちが一卵性双生児ということとかけていたのがずっと印象に残っていますね。
ドラマが面白くて原作の小説を読んでみたのですが…何だか言い回しが古いというか、こども相手に書いた文章のようで「何か嫌だ」と思ってしまいました。ドラマのセリフそのままの場面や、設定も素敵で面白い作品には変わりないので、映像化に向いている作品だったんだろうなと思います。双子が可愛さや泥棒のステップファザーとの絆とか良いところいっぱいなのに、何か残念な感じです。ドラマを観た後なら、すんなりと読み進められる小説だと思います。素敵なセリフもたくさんあります。宮部みゆきさんの作品が好きなので、ドラマ化に喜び、読んだこの作品でびっくりしてしまいました。
数年前、テレビドラマになった原作です。ドラマより泥棒さんは少し軽めで、双子ちゃんは少し大きい(中学生)設定です。とある事情で二人だけで暮らすことになってしまった双子。もちろん稼ぎはなく、貯金も減るばかり。そこに運良く(?)屋根から落ちてきたのは継父候補の泥棒だった!この設定だけで面白そうなのに賢い、いや知恵の回る双子とイヤイヤながらも脅されてステップファザーになる泥棒との会話の掛け合いがテンポ良く、そして面白い。もうコメディの域だ。でも、色々な事件に巻き込まれながら泥棒が父親としての感情を育てていく様子は親子や家族というものを考えさせられる。本当の親子ではなくても家族にはなれるのか。血が繋がっているからという理由だけで家族なのか。面白い中にも考えさせられるテーマのある1冊でした。
泥棒
主人公が擬似親子を演じていた双子の子供に対して、慣れ合いすぎると別れが辛くなると考えて距離を置こうとするも、突き放すことが出来ず葛藤する場面。
泥棒
今まで一人だった泥棒に、心配してくれる人が出来て思った言葉