彼女のこんだて帖の評価
彼女のこんだて帖の感想
ごはんを食べなくては生きていけない訳で。
失恋を栄養にするのは悲しくなんてない「肉だ、肉しかない。」学生の頃、初めての失恋をした。そのときのわたしは、たいして知りもしない相手のことが好きで好きでどうしようもなくて、フラれたのはわたしが太っていて醜いからだと思った。少女漫画の主人公はみんな目が大きくて痩せているし、雑誌で見るモデルのキラキラした女の子たちは足が長くてどんな洋服でも似合う。だからせめて痩せようと思って母がせっかく作った夕飯をほとんど食べなくなったり、バイト先のまかないを断ったりした。お腹がぐうぐう鳴っているのに体重は一向に減らなくてどんどん気分が沈んでいった。一週間くらいして、もうだめだ、お腹がすいて死にそうと思ったときにわたしも協子と同じように思った。「肉だ、肉しかない。」って。お腹いっぱいになったら失恋したことなんかどうでも良くなってしまった。この話を読んでそのときのことを思い出して懐かしくなった。大きくなって...この感想を読む
料理の連作短編集と、そのレシピ達。
料理にまつわる15作の連作短編集と、その話に出てくるお料理のレシピ集です。話はそれぞれ繋がっていないけれど、登場人物がうっすら繋がっているのが良かったです。次は誰が主人公か予想するのが楽しかったです。お料理も、ベターホーム協会が監修している事もあり、丁寧で、作りやすそうなレシピでした。いつか、かぼちゃの宝蒸しを作って食べてみたいなあ、と思いました。11回目のご飯の、豚柳川のお話が、せつなくて、でもホッとして、良かったです。最終話の15話で、1話目の彼女のその後が暗示されているのも良かったです。あとがきで、著者の実話が紹介されているのだけれど、それもすごくいいお話です。お腹空いている時に見ると大変そうだけど、お勧めの本です。