映画への愛が感じられる小説
一度観た映画をまた観たくなる映画のエンドロールで席を立つ人はもったいないと思う。それは、暗闇のなかで文字が上がっていくだけでなにか情報が得られるというわけではないのだけれど、映画は終わっているのだけれど、あれはじんわりとした余韻を楽しむ時間だから。だから、良い映画ほどエンドロールが長ければ良いと思う。いつまでもこの余韻に浸っていたいと感じる。「フィールド・オブ・ドリームス」はラストシーンのキャッチボールで涙が止まらなかったな、「戦場のピアニスト」は残酷なほどにまざまざと見せつけられる戦争の悲壮さと、ピアノの美しいシーンの対比が素敵だった、「カッコーの巣の上で」は底辺に落ちたように見えた主人公が大胆に殻をやぶるのだけれど、非人道的な状況は改善しないまま終わったので少し後味が悪かった、といままで見た映画を思い出しながら読み進めた。この本を読んで、一度見た名画をもう一度観直したくなった。「キ...この感想を読む
3.73.7
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