昼下がりの恋人達のあらすじ・作品解説
昼下がりの恋人達とは2012年9月に徳間文庫より出版された赤川次郎による日本小説である。 本作の主人公である竹中秀治は文具メーカーに務めている。職場結婚する事になり、恋人の純江と一緒に新居を探していたが、帰りの電車で急に具合が悪くなった老人を助け、病院まで付き添う事に。1週間後に老人は亡くなってしまい、主人公「秀治」の前に知らない弁護士が表れる。その弁護士に「秀治」が電車内で助けた老人の遺産を受け取って欲しいと言われ、二人は悩んだ末に老人の残した遺産を受け取る事を決意する。突然大金を手にした事で二人の日常は大きく変化していくのであった。 本作品は質の高いストーリー構成や登場人物の感情の変化を細かく描写した点が、多くの読者から高く評価されている。 作者の赤川次郎は1976年に幽霊列車で作家デビューを飾っている。この作品はオール讀物推理小説新人賞を受賞しており、奇抜なトリックや手に汗握るスリリングな展開が多くの読者から高い支持を受けている。
昼下がりの恋人達の評価
昼下がりの恋人達の感想
初期の佳作が読める短編集。気軽にどうぞ
赤川次郎の初期にあたる時期の短編作品集です。軽く読めて、ひとつひとつのお話が程良くまとめられています。急に「あなたの夫を誘拐しました」という男が帰ってくる「愛妻物語」、仲間達と妻の不義を疑う「一杯のコーヒーから」など、市井の人々を主人公としたさりげない話がほとんどで、特にこの二編が個人的にお気に入りです。文章が少々説明くさかったり、ミステリーとしての仕掛けはゆるく、謎解きの楽しみは少ない作品ですが、どこか心落ち着かせるようなものがあり、時折繰り返し読んでしまう、そんな魅力があります。現在の赤川次郎はルーチンワークの感が否めず、作品の大半が会話となってしまっています。この頃の作品でも、会話はもちろん重要なモチーフですが、もうちょっと地の文をしっかり書いている、軽妙なだけじゃない赤川節が楽しめる一冊です。