いくつもの週末の評価
いくつもの週末の感想
いつも週末ではつまらない
やっぱり江國香織のエッセイ私は男性だ。何となく男性と女性では彼女の小説を読むその見方が違う気がするのでそう書いておく。なぜか私にとって江國香織のエッセイをたまに読むことは、やっぱりとても重要なことだと思った。彼女のエッセイは本当に安らかで無邪気だったりわがままだったり、形容しようと思えばいくらでもできるような、そのどれもあまり当てはまっていないような難しい感覚になるのだが、とにかく読んでいるだけで自分の普段忘れられていた領域に入り込むことができる。彼女の正直さというか、ありのままの姿を活字をとおして眺めていると、こんな風に物事を正直に考えるという感覚がいかに普段の生活の中で失われているかということに気が付く。そしてそう思ったところで日常に戻ればやっぱりその感覚は学校や仕事では役に立たないというか私には使いこなすことが出来ないのだが、そういう自分に定期的に気が付いておくことが重要なのだ。...この感想を読む
女性の視点から見た結婚生活のエッセイ
著者が結婚してから、2年から3年目の時の、結婚生活についてのエッセイです。とにかく、主人公=著者がとてもかわいらしい奥さんだな、と思いました。また、それに対する旦那さんも、ちょっとだらしないけど、素敵な人だな、と。文章は、優しく、幸せな感じがたっぷり詰まってて、とても嵐のような喧嘩をする2人のようには思えない、喧嘩の描写がほとんどない、ので、読んでいて、こちらもとても幸せな気持ちになれます。この本は、1冊の、旦那さんへのラブレターのようだ、とも思います。2人でいて、ばらばらな事をして、ばらばらな事を考えてはいても、風景として同化している、そんな夫婦なのだなあ、と思い、そういう相手に巡り合い、結婚生活が送れる幸せを存分に文章にできる著者は、幸せ者だなあ、と思いました。
「らしい」結婚、「らしい」日常。
江國香織が自身の結婚生活についてを綴ったエッセイ集。「自身の結婚生活」とはいえ、所帯じみたナマグササはみじんもなく、だらしない部分を書いても、なさけないところをさらけだしても、そこはやはり「江國香織」じみて、こちらに届くときには微妙にいい匂いになってしまっている。なので、作家の実像として読むよりは、すこし・フシギ夫婦のちっちゃな交歓と思って読むと、ほわほわしていてとても楽しい。何を食べる?とか、週末はどうやって過ごす?私はこれが好きだけど、あなたは好きじゃないの?とか、実にありふれたことに悩み、解決できないままに「まあいいわ」といなしていくふたりを、なんだか嫌いにはなれない。