昼下がりの恋人達の評価
昼下がりの恋人達についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が1件掲載中です。
各項目の評価分布
昼下がりの恋人達の感想
初期の佳作が読める短編集。気軽にどうぞ
赤川次郎の初期にあたる時期の短編作品集です。軽く読めて、ひとつひとつのお話が程良くまとめられています。急に「あなたの夫を誘拐しました」という男が帰ってくる「愛妻物語」、仲間達と妻の不義を疑う「一杯のコーヒーから」など、市井の人々を主人公としたさりげない話がほとんどで、特にこの二編が個人的にお気に入りです。文章が少々説明くさかったり、ミステリーとしての仕掛けはゆるく、謎解きの楽しみは少ない作品ですが、どこか心落ち着かせるようなものがあり、時折繰り返し読んでしまう、そんな魅力があります。現在の赤川次郎はルーチンワークの感が否めず、作品の大半が会話となってしまっています。この頃の作品でも、会話はもちろん重要なモチーフですが、もうちょっと地の文をしっかり書いている、軽妙なだけじゃない赤川節が楽しめる一冊です。