ふたりのあらすじ・作品解説
赤川次郎による1989年1月の小説『ふたり』は、新潮社より刊行されている小説である。カバーイラストは『グーグーだって猫である』などで知られる、少女漫画家の大島弓子が担当している。小説では、主人公の実加が、彼女の頭の中で聞こえる交通事故によって急死した姉・千津子の助けを借りて、さまざまな事件や試練を乗り越えて精神的に成長する様子が描かれている。 メディアミックスとしては、1990年にNHK総合で、1997年にテレビ朝日で連続ドラマとして、1991年には映画(90年のドラマの再編集版)として、2003年と2004年には舞台作品として、3度の映像化、2度の演劇化をされている。当初著者である赤川は映像作品にはしてほしくない意向を示していたが、監督である大林の交渉により90年ドラマ・映画化が叶ったといういきさつがある。また、91年のドラマ・映画版と97年の連続ドラマ版では、キャスト・スタッフともに全く異なっている。
ふたりの評価
ふたりの感想
身内の死を乗り越える勇気と強さ
優等生で、何でもそつなくこなすあこがれのお姉ちゃん。そんなお姉ちゃんに守られて、生きてきた妹。その妹の目の前で、お姉ちゃんは事故で亡くなります。お姉ちゃんがいない不安に押しつぶされそうになりながら、一つ一つ日常生活を妹は送っていきます。そんな妹の目の前に、お姉ちゃんが現れて、陰からそっと助けてくれるようになります。死して身体を失って、なお妹を思う姉と、姉に頼りながらも、「このままではいけない」と自分で立ち上がろうとする妹の姿が悲しいまでにリアルに描かれています。どんな人も大切な人との別れはあります。その別れの中で、相手との絆を感じながら、悲しさや辛さを乗り越えていくことの大切さを知りました。
姉と妹、その片方が欠けたとき
出来の違う兄弟姉妹。うちがそうでした。私が運動音痴、妹がスポーツ万能。小学校の頃の全校マラソン大会では、そのあまりの成績差に私のクラスメイト達がこぞって笑いに来たものです。(ひどい)この作品では姉が優秀、妹が平々凡々。優秀というか、世が世ならカリスマと呼ばれても不思議ではないくらいハイスペックな姉の千津子が、不慮の交通事故で亡くなってしまうのは…そこまでのあらすじを知ってはいてもショックでした。妹・実加のこれからの運命について嫌な想像をしてしまった為かもしれません。ところが千津子の声が実加にだけ聞こえるようになります。しんどい時に自分だけにアドバイスする声があったら、ただただ縋り付くのみになってしまいそうですがそんなことはなく、ハラハラしつつも様々な出来事に揉まれる実加の成長を楽しめる作品です。