おらんくの池の評価
おらんくの池の感想
爆笑必至、山本家AtoZ
週刊文春での同名の連載をまとめた本の第一段。山本一力の日々感じたこと、考えたこと、経験したこと、のつれづれなるエッセイだが、眼目はなんといっても「山本家の面々」ネタであろう。直木賞授賞式でも少々話題になったが、一力さんの奥様はモーレツ奥さんである。彼(一力氏)が彼女(奥さん)に振り回され、ブンまわされる回などは笑いながらも憐れを誘う。そんな奥さんがふたりの子供をしたがえ、ドスドスと縦横無尽にふるまう姿は爆笑必至だ。時代小説の雄となる以前の困窮時代のことも、今は笑ってネタにできる。おじさんのぼやき風ではあるけれど、そこは文章巧者の山本氏のこと、きっちりオトしてシメている、安心して読めるエッセイ本です。