人生が線路のようなものだとしたら、自分と全く同じ高さで、同じ角度で、その線路を見つめてくれる人はもういないんだって
田名部瑞月
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小説レビュー数 3,368件
読後感まず、率直な感想を述べる。「不快だ」。唐突で驚いたであろうか。しかし大抵の人は薄々共感してくれるのではないかと踏んでいる。ところで、これはこの作品への批判ではないということを明記しておきたい。というのも、不快というのは作品の表現や構成を指して言っているのではない。もっと言えば、この作品を指して言っているわけでもないのだ。何が言いたいかというと、私はこの作品を通して、「自分自身」への不快感を持ったのである。以下、物語の進行に沿って詳細を見ていく。 序盤、私はニヤニヤした。そう、ニヤニヤしたのである。余りにも共感できたから。ギンジの「演劇を頑張っている」アピール。理香子の「就職活動を一足先に始めている」アピール。隆良の「就職活動という主流に安易に乗らない自分カッコいい」アピール。しかもそれらが「SNS」という現代特有のネット社会を通じたものであるという点。主人公はこれらを嘲り笑っているの...この感想を読む
人間の本質ってこうだよね主人公に共感。共感性の強い小説だと思った。自分より不幸な人を見つけては嘲笑っている。自分を「何者」かでもあるかのように人を分析して自分が上に立つ。この感情は醜いものだけれど人間の本質だなと感じた。主人公が就活に一度失敗して二度目の就活生だったという事に驚いた。それを知ってからもう一度読んでみると全然見え方が違う。就活に挑む仲間に出会って励ましあっているかのようで心では成功を祈っていない。そういう汚いタブーとされている感情を目の当たりにしたとき、とても恐く苦しくなった。朝井リョウさんはこういう人間の本質的な小説がすごく上手だと思う。「スペードの3」という小説も人間ってこういう感じだよねという感想をいだき人間というものをよく観察しわかってらっしゃると感心した。人間の本質的な所でいくと東野圭吾さんの「秘密」なんかも本質をつっこんで描かれいてこの小説同様読んでいて苦しい...この感想を読む
面白かった!と思う小説でも、ストーリーがつらすぎたり悲しすぎる結末を迎える小説はなかなか再読できないのですが、その一冊がこの作品です。四人の大学生の就職活動の様子を描いた作品です。私はすこし世代が違うので、完全に感情移入できたとは言えませんが、おそらくここ10年以内に就職活動をした世代なら「こんなこと考えた」とか、「こんな人いた」とか、あるいは「これは自分だ」と思う節が少しくらいはあるのではないかと思います。今若者の多くが使っているSNSが重要なキーになっていて、その匿名性がこの小説の「痛さ」を加速させています。一見状況を一番俯瞰しているように見える主人公が、実は「意識高い系」カップルの二人よりもはるかに「痛い」そして闇を抱えている人物であるということが、このSNSを通じて判明するラストは圧巻のようで「あああ~なんでばれちゃったの!!なんであえて本人に言っちゃうの!!」と一人悶絶してしまう展...この感想を読む
よみがな:こばやかわりか
よみがな:たなべみずき
田名部瑞月
就職が決まった瑞月を歓迎する集まりにて、就職活動について、フリーターの隆義に言い返した言葉。
田名部瑞月
就職が決まった瑞月を歓迎する会にて、就職をばかにする隆義に瑞月が言い返す場面
小早川理香
就職活動に執念を燃やしていた理香が、主人公に就活について語る場面。