読み返せない、痛い小説
面白かった!と思う小説でも、ストーリーがつらすぎたり悲しすぎる結末を迎える小説はなかなか再読できないのですが、その一冊がこの作品です。
四人の大学生の就職活動の様子を描いた作品です。私はすこし世代が違うので、完全に感情移入できたとは言えませんが、おそらくここ10年以内に就職活動をした世代なら「こんなこと考えた」とか、「こんな人いた」とか、あるいは「これは自分だ」と思う節が少しくらいはあるのではないかと思います。
今若者の多くが使っているSNSが重要なキーになっていて、その匿名性がこの小説の「痛さ」を加速させています。一見状況を一番俯瞰しているように見える主人公が、実は「意識高い系」カップルの二人よりもはるかに「痛い」そして闇を抱えている人物であるということが、このSNSを通じて判明するラストは圧巻のようで「あああ~なんでばれちゃったの!!なんであえて本人に言っちゃうの!!」と一人悶絶してしまう展開でもありました。
ラストで「落ちるかもしれないけど大丈夫」とつぶやく主人公が救いなのか、光が見えたということなのかが、わたしには分からないままです。
近いうちに実写化されるようですが、実写化なんてますます痛すぎて直視できないだろうなぁ・・・と思います。
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