最初から分かるはずのないもん、「分からんから言うても無駄や」で逃げられたら話をしたい俺は置いてけぼりや。
向坂伸行
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小説レビュー数 3,368件
レインツリーの国は、2006年に発行された有川浩による小説作品。発行元は新潮社。 有川浩の小説「図書館戦争」シリーズに登場した架空の小説だったが、著者が実際に執筆・作品化したものである。 主人公・向坂伸行は、学生時代に夢中になった小説を、ふと思い立ってインターネットで検索した。すると、自分が抱いたものと同じような感想を見つける。そのブログサイトの管理人である女性とメールでやりとりし、次第に心惹かれていく伸行だが、じつは彼女は難聴だった…というストーリー。 もともとは作中作だったが人気が高い作品であり、雑誌「ダ・ヴィンチ」で行われた有川浩の作品内での好きなカップルベスト10で、主人公カップルは第10位にランクインしている。 2007年、NHK-FMのドラマ番組「FMシアター」でラジオドラマ化されたものが放送されており、さらに玉森裕太、西内まりや主演で映画化したものが、2015年11月に公開予定である。(2015年7月時点)
メールでのやりとりが素敵映画化になった有川浩さんの小説。まだ映画を観ていない状態で、やっぱり原作を先に読まなくては!とあらすじなどの予備知識なしで読んだけれど、相変わらずの有川さんならではの甘々な恋愛小説!そして、伸行とひとみの出会いがひとみのサイト経由というのが面白い。サイトで知り合った男女の恋物語自体は珍しくはないが、きっかけが昔読んでいたライトノベル『フェアリーゲーム』のレビューというのが読書好きとしては憧れる。読書好きなら、共通の本を通して異性と出会ってみたい!と思うことがあるのかなぁ、と。だから、ストーリーの展開にのめり込んで読むスピードが自然と早くなった。2人のメールのやり取りを文章にしている割合が多く、読みやすかったからもあるけれど。実際に2人が会うようになってからも、メールでのやり取りの場面が多く、それがこのストーリーならではの構成で楽しい。チャット形式の連絡手段が主流に...この感想を読む
テンポのよさに一気読みしてしましました。一冊の本をきっかけにネットで知り合った快活な伸という男の子と聴覚障害のハンデを持っているひとみという女の子。言葉を大切にしている二人がとても懐かしく感じて、シチュエーションがとても自分好みでした。真剣にぶつかりあって、戸惑いながらも受け止め続ける伸。ふたりの心が変化していくことに、わかりあうこととは何かと考えさせられました。誰でも何かしらハンデを持つことはあるはず。障害だけではなく心の傷やコンプレックスなど辛さを抱えることは誰でもある。そんな時、人間は自分の都合のいいように解釈してしまう事の方が多いのでしょうね。「・・痛みにも悩みにも貴賤はない。周りにどれだけ陳腐に見えようと、苦しむ本人にはそれが世界で一番重大な悩みだ・・」印象に残る言葉です。
同じ作者・有川浩さんの『図書館戦争シリーズ』に作中作として登場し、のちに本当に実在するものとして書かれた恋愛小説。これ、小牧さんにオススメされて毬江ちゃんは良かったのか? というのがなんとも……。というのは男性のほうが、うーん、常に女性のほうをリードしていて、二人で歩調を合わせていこうというより先に立って引っ張っていってあげている、という印象が強かったんだよなぁ(この『あげている』というところもポイント)。個人的には、本当に良いカップルって、お互いがお互いのできていないところを補い合うような、二人ができていないところがあれば一緒に頑張っていけるような関係が望ましいと思うので、この主人公たちのような在り方はどうなのだろうと思ってしまったし、終わり方もあまり好みではなかった。
向坂伸行
耳が聞こえない女の子が自分に自信がなく、どうせ誰にもわかってもらえないと言う場面で、主人公が彼女に言った言葉
向坂伸行
ひとみさんと、チャットで交流が再開し始めの会話から。