ストーリー・セラーの評価
ストーリー・セラーの感想
ストーリーはわかりやすいけど、現実か架空かわからなくなる
有川浩とはこの作家の本は初めて読んだのですが、てっきり男性だと思っていました。検索したらやはり「ヒロシ」と読み間違う人が多く、思い込んでしまうようですね。どうりで「ストーリー・テラー」の登場人物がどちらも女性作家だったわけか。確かにside.Bのほうの作家が同じタイトルの小説を書いてる設定になってたわけです。自分の小説を登場させちゃうってのも最近よく見ますね。登場させちゃうっていうか、シンクロしてるっていうのかしら?今まさに書いてる小説にタイトルを出しちゃうという。それでも作者は男性だと思ってた私って・・・読み終わってから調べて知りました。最初に考えてたのと違ってたぱらっとページを見たときに「side.A」「side.B」というのが見えました。読み始めたとき、旦那さん視点で書かれてて奥さんが難病で死んでしまうというストーリーで悲しかったけど、もしかしてside.Bのほうは奥さん視点で書かれててなにか別な発見が...この感想を読む
どこまでが物語で、どこまでが真実?
有名作家数人の短編集が収録されている企画本で本作を読んだのですが、他のどの作品よりも飛び抜けていたと思います。その後、たまたま本屋を訪れた際、サイドストーリー?続編?が追加された単行本が出ていたので迷わず購入。元々、有川浩先生の作品は、キャラクターの感情が丁寧で分かりやすく描写されていて、キャラクターへの感情移入や情景の想像がしやすく、かなり早い段階でストーリー内に引き込まれてしまうのですが、本作ではそのスピードがずば抜けていました。登場人物が少なく、会話ベースの表現が多かったのも1つの要因かもしれません。もし突然、生涯の伴侶(夫であれば妻、妻であれば夫)の難病が発覚し、余命宣告をされたら、どうしますか?"最強の二人"であるこの夫婦の強い愛情から出る、それぞれの言動に、いちいち心をわし掴みされました。今まで通りを装っていても、神経が過敏になっているので些細なことで感情が爆発してしまう。。。...この感想を読む
苦しいほどの愛情を感じる本でした。
この本はsideAとsideBの2つの物語があってどちらも女性作家とその夫のお話です。sideAでは女性作家が死ぬことに、sideBでは女性作家の夫が死ぬのですがどちらも苦しいほどの愛を感じるストーリーです。元々、お互いに仲の良い夫婦でお互いの仕事や彼・彼女自身を尊敬し合っている二人です。仲の良い描写は、さすがベタ甘が得意な有川さんだなぁという感じで女性目線で見ると、こんな夫がいたらうらやましい、の一言です。その二人の前に「死」という試練がつきつけられます。死を意識した時に、愛してやまない相手のためにどういう事をするのか、どういう物を遺すのか。思わず自分のことを考えてしまいました。