サマータイムの評価
サマータイムの感想
若者たちの瑞々しい物語
”すべてはここから始まった。” 佐藤多佳子さんのデビュー作。この物語で、「月刊MOE童話大賞」を受賞されているのだけれど、これでMOEって、童話って、ちょっとずるい気がしないでもない(苦笑)。主人公たちの心理描写がすごくて、若者ならではの無鉄砲なところや傲慢なところが、ひりひりしたものを感じさせるくらいだと思う。構成としては連作短編集の形を取っていて、どのお話もそれぞれに心に残るものがある。一番印象的なのは、ゼリーを三人で食べて、夏を食べてしまった、というシーン。巧い。巧すぎる。そういえばホワイトピアノに魅かれるようになったのはこのお話を読んでからのことだったなぁ。