コミカルながらもハートウォーミングな作品たち
それぞれの家庭の問題をコミカルに書いた6作品この「我が家の問題」には、タイトル通りそれぞれの家庭で抱えている“問題”をコミカルながらも深く書き込んでいる短編が全部で6編収められている。それぞれの家庭にそれぞれの問題があり、そしてそれは傍から見ている分には少し笑ってしまうところもあるのだけど、本人たちは至って真剣に悩んでいるところが現実味があり、我が家には似たような問題こそないものの十分感情移入して読めるものばかりだった。家族に悩んでケンカしたりしても、その言葉にはどこか愛情が感じられ、ただの暴言ではないところに家族の絆の深さを感じることもできたりして、このあたりは奥田英朗の表現力の幅を見せ付けられたような思いがした。少しかっこ悪くて、だけどハートウォーミングなストーリー展開は荻原浩が十八番のようなものだと思うけれど、奥田英朗の文章もそういうことを感じさせてくれるのだなと思った作品だった...この感想を読む
3.03.0
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