久しぶりに出会う村上春樹の世界
前短編集「東京奇譚集」との違い私は中学の頃に読んだ「1973年のピンボール」で初めて村上春樹の作品に出会った。以来全ての小説は何度も読み返すようになった。彼の作品の魅力は長編だけでなく、短編にもたっぷりとつまっている。いくら短くてもそれぞれきちんとしたカラーや印象があり、色んなチョコレートの詰まった箱のような、どれを読んでもどこを読んでもいつもがっかりさせられることはなかった。この「女のいない男たち」は9年ぶりの短編集ということで、その前は「東京奇譚集」になる。それはとても気に入っている短編集なので、この作品も期待しながら読んだことを覚えている。はっきり言ってしまうと、私は短編集というなら「東京奇譚集」の方が好みだ。「東京奇譚集」に収められている物語のどれを読んでもその物語の中に入り込むことができる。緻密な風景の描写に心を馳せることで現実から離れられるような、例えば何かしら怒りのような...この感想を読む
3.53.5
PICKUP