M−エムのあらすじ・作品解説
M~エムは、MANGAオールマン1996年4月号にエムの題名で初掲載された後、加筆されたM完全版が週刊ヤングジャンプ2002年5・6合併号に再掲載された桂正和原作の日本の青年漫画。M~エムのタイトルで2005年に愛蔵版単行本全1巻が刊行。M本編の他に、記憶の迷宮とa virginを同時収録しており、計3話を楽しめる贅沢な一冊。雑誌への掲載後、単行本化は行われないものだと諦めかけていたファンにとって待望の発売となった。 主人公である青春真っ盛りの21歳の青年・松田エージが睦月エミと交際する中での様々な葛藤に苦悩する姿を描いた青年向けラブストーリー。松田の主観でストーリーが描かれているため、男性特有の恋愛におけるもどかしさがリアルに感じられる作品に仕上がっている。青年向け漫画ながらも、少女漫画の様な美しく繊細な画風のため、女性ファンも少なくない。また、作品の主題「マゾヒズム」と登場人物のイニシャルになぞらえて、タイトルをMとしている。
M−エムの評価
M−エムの感想
ギリギリの描写を楽しみたい人向けの作品
恋愛駆け引きが描かれているが、非現実的恋愛漫画には定評があるにもかかわらず、恋愛漫画が苦手という桂氏の作品である。非常に主人公のモノローグが細かく描かれており、男性に体を許すことを拒む彼女との駆け引きが描かれているが、電影少女やI”sなどの作品にあるような、共感を得られる心理的駆け引きを楽しむというよりは、少年誌ギリギリのエロ描写を、一つのエンターテインメントとして楽しみたい男性向けの作品だと言える。あまりに女性の心理がミステリアスすぎて現実味がないため、女性読者は感情移入がしづらく、また、男性読者もセクシーな描写を楽しめても、唐突に主人公の元を去ってしまう彼女には不可解という気持ちしか残らないだろう。性的行為を拒否していると宣言しておきながら、色仕掛けをしかけ、性的な遊びをギリギリのところで楽しんでいるような作品のため、純粋に恋愛の物語を読みたい人には不完全燃焼で終わってしまうかもしれ...この感想を読む