ギリギリの描写を楽しみたい人向けの作品 - M−エムの感想

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M−エム

4.004.00
画力
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ストーリー
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キャラクター
3.50
設定
4.00
演出
4.00
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ギリギリの描写を楽しみたい人向けの作品

4.04.0
画力
5.0
ストーリー
4.0
キャラクター
3.5
設定
4.0
演出
4.0

目次

恋愛駆け引きが描かれているが、非現実的

恋愛漫画には定評があるにもかかわらず、恋愛漫画が苦手という桂氏の作品である。

非常に主人公のモノローグが細かく描かれており、男性に体を許すことを拒む彼女との駆け引きが描かれているが、電影少女やI”sなどの作品にあるような、共感を得られる心理的駆け引きを楽しむというよりは、少年誌ギリギリのエロ描写を、一つのエンターテインメントとして楽しみたい男性向けの作品だと言える。

あまりに女性の心理がミステリアスすぎて現実味がないため、女性読者は感情移入がしづらく、また、男性読者もセクシーな描写を楽しめても、唐突に主人公の元を去ってしまう彼女には不可解という気持ちしか残らないだろう。

性的行為を拒否していると宣言しておきながら、色仕掛けをしかけ、性的な遊びをギリギリのところで楽しんでいるような作品のため、純粋に恋愛の物語を読みたい人には不完全燃焼で終わってしまうかもしれない。

エミのあざとさに賛否がありそう

主人公松田の彼女のエミは、はっきり言って同性に好かれているタイプとは思えない。友達と仲たがいをして友達の家に居候していたのを追い出され、松田の家に同居したいという申し入れがあるが、本当に同性の友達の家にいたなら、なんだかよくわからない思考の彼女に疲れて叩き出されるのもわかるように思うし、そもそも同棲していた相手が男性だったと言えなくもない。

そのくらい信用ができない女の子なのだ。料理もでき、かわいく、性格も良いという桂作品の典型的なヒロインとは異なり、実家があるのかないのか、人に寄生した挙句散々色仕掛けをしておいて、最後はいなくなってしまうというあたり、心地よい余韻を残して去ったというよりは、主人公が訳の分からない厄介者に振り回されて捨てられた、という印象しかない。

こういう不条理系結末が好きな人や、ミステリアスさを是非はともかく楽しみたい人には楽しめる。

絵柄のリアルさはすばらしい

電影少女の全盛期と比較すると、若干漫画的デフォルメや独特の癖が出てきた絵柄ではあるが、特に女性のお尻を書かせたら日本一と言われているだけのことはあり、リアルな描写はすばらしい。

カラーページなども表情が生き生きとしており、桂氏の作品は漫画家を目指す人にとっても、いい教材として必見の作品である。

表紙は宮沢りえさんの写真集のオマージュを思わせるもので、その世代の読者との目くばせの様な、思わずニヤッとしてしまうような構成が嬉しい。画集的意味でも楽しめる作品である。

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