ポセイドン・アドベンチャーのあらすじ・作品解説
1972年公開、アメリカの海洋パニック映画である。原作はポール・ギャリコの同名小説で、本作を含め4回映画化されている。監督は「クリスマス・キャロル」「メテオ」のロナルド・ニーム。 大晦日にニューヨークを出港した巨大豪華客船”ポセイドン号”の乗客たちは、年越しパーティーに浮かれていたが、ハリソン船長だけは船主の命令で船底を軽くしていることを心配していたところ予感は的中し、津波で転覆した船内は阿鼻叫喚の地獄となった。が、スコット神父ら9名は、既に上部となった”船底”を目指すことを決意、様々な苦難を乗り越えてゆくが…。 リーダーとなるスコット神父を「スケアクロウ」のジーン・ハックマン、野卑な刑事マイクを「地上(ここ)より永遠に」のアーネスト・ボーグナイン、雑貨商ジェームズを「ハタリ!」のレッド・バトンズ、中年夫婦の優しい夫マニーを「酒とバラの日々」のジャック・アルバートソン、皆を救うため水中に身を投じるその夫人ベルを演じたシェリー・ウィンタースはゴールデングローブ賞の助演女優賞を獲得した。
ポセイドン・アドベンチャーの評価
ポセイドン・アドベンチャーの感想
デッドオアアライブ!
旅客船の転覆事故本編で描かれている時代背景と、現代社会では、旅客船という言葉の意味や定義が違うのだと考えられます。現代社会において、旅客船での船旅は、一般的感覚として浸透していないのではないでしょうか。海外に旅行する交通手段であれば、もっともポピュラーな乗り物は飛行機です。一般的な感覚として、わざわざ旅客船に乗って、海外旅行に行くことを考えないのではないでしょうか。富裕層が、旅行を楽しむためのレジャーの一環として、旅客船の存在があるのだと考えられます。しかし、映画本編での時代背景では、旅客船の定義が違うと推測されるのです。ジャンボジェットのような大型航空機がなかった時代でしょうから、海外や遠出の旅をするのであれば、旅客船が一般的な交通手段だったと考えられるのです。すなわち、現代社会より身近なものであり、恐怖の感覚としても観客が考えるより、登場人物たちの恐怖は大きかったのだと考えられます...この感想を読む
人間としての原罪と贖罪の意味を問う、宗教的な寓意を秘めたパニック映画の娯楽超大作
1970年代のアメリカ映画は、グランドホテル形式の「大空港」を皮切りに次々とパニック映画の大作が製作されるようになり、この「ポセイドン・アドベンチャー」がハリウッド映画の伝統である、"スペクタクル劇"の魅力を全編に盛り込み、その大きな決定打となり、その後に続く「タワーリング・インフェルノ」などの一連のパニック映画の大きな潮流を作りました。この一連のパニック映画を興業的に大成功させたのは、ハリウッドの大プロデューサーであるアーウィン・アレンの功績によるもので、1960年代以降、興業的に衰退の一途を辿っていたアメリカ映画界を甦えらせる大きな起爆剤的な役割を果たしました。そして、これらのパニック映画は、アメリカ社会の1960年代の経済的な繁栄と精神的な頽廃への人間的な反省を呼び覚ます警鐘としての意味を持っていたのだと思います。 この映画の題名の"ポセイドン"とは、ギリシャ神話の海の神、地震の神の名前で、青銅の...この感想を読む
パニック映画といえばこれ!
パニック・ムービーといえばこれは外せないですっ!「神は自分自身の内側にいる」という言葉、忘れられないです。70年代にこれだけの映像が作られたというのだからますます驚きです。古さを感じさせないつくりになっています。事故によりパニック状態になったとき、人はどう行動するのか・・・よくできていると思います。とにかく引き込まれて目が離せません。脱出を試みる神父たちだが、次々と災難が降りかかってき、無事脱出できるのか最後まで息をつくことができない展開でした。そしてそんな中にも、人間ドラマがあり、特に異端児と言われていた新婦の苦悩が最後まで浮き彫りになっていて、胸が痛みました。やはり、リメイク版より、このオリジナル版が好きです。