日の名残りのあらすじ・作品解説
日の名残りは、1994年に公開されたアメリカ・イギリス映画である。原作は、イギリス文学賞ブッカー賞を受賞した日系イギリス人カズオ・イシグロによる同名小説。監督は、「眺めのいい部屋」「モーリス」「ハワーズ・エンド」のジェームズ・アイヴォリー。出演者は、アンソニー・ホプキンス、エマ・トンプソン、ジェームズ・フォックス、クリストファー・リーヴ。 1958年のオックスフォード。ダーリントン邸の持ち主であるダーリントン卿が亡くなり、アメリカ人の富豪ルイスが邸宅を所有することになる。邸宅で長い年月を堅実な執事として働いてきたジェームズ・スティーヴンスは、使用人が減ったことに苦心していた。そんな折、かつて女中として働いていたミス・ケントンから手紙を受け取ったスティーヴンスは、彼女に仕事を依頼する事を考えながら、一緒に働いていた日々を回想するのだった。静かな思いを秘めながら、忠実に職務を全うしてきた執事の姿を描いた物語である。 アカデミー賞にて作品賞、監督賞他8部門にノミネートされた。
日の名残りの評価
日の名残りの感想
英国俳優の会話劇と他者から見た英国の姿
作品概要『日の名残り』(1994年)は、日系イギリス人作家カズオ・イシグロの同名の小説の映画化作品である。監督にアイルランド系アメリカ人監督ジェームズ・アイヴォリー、主演にアンソニー・ホプキンスを据えて製作された。世界一の大国として君臨した大英帝国が、2つの大戦を経て力を失った後日譚を、貴族の屋敷に使える執事スティーブンス(アンソニー・ホプキンス)の視点で描いている。原作との大きな違いは、小説がスエズ戦争直前の1956年を舞台としているのに対して、映画がスエズ戦争後の1958年に設定されていることである。スエズ戦争は英仏イスラエル軍とエジプト軍がスエズ運河の利権を争った戦争であり、米ソの介入もあり、エジプト軍の勝利に終わり、大英帝国及びヨーロッパ中心の世界の終焉が決定づけられた戦いである。原作は2つの大戦とスエズ戦争を背景にして、英国の史実とフィクションを合わせたところに面白さがあるが、映画はそういった...この感想を読む
「ダウントンアビー」に影響を及ぼした作品
色々と話題の作品2017年ノーベル文学賞受賞で話題になったカズオ・イシグロ氏の小説「日の名残り」が、アンソニー・ホプキンス主演で映画になっていますね。1993年公開の古い映画ですが、さっそく観てみました。ノーベル賞受賞作家の作品だからというより、大好きなドラマ「ダウントンアビー」に大きな影響を与えた映画というのが興味を引かれた1番の理由です。伝統あるイギリス貴族の没落、古城と田園風景、そしてバトラー・・・もう、それだけでもロマンティックです!はじまり1958年、ダーリントン邸が売出されるシーンから始まります。館の壁に掛けられていた絵画が次々とオークションにかけられ、後に所有者となるアメリカ人が落札していきます。過去の栄光が解体され売りに出される、物語の始まりは寂しいです。老齢の執事スティーブンスが、まだ貴族社会が厳然と存在していた20年前の華々しい日々を想い、映像は現在と交差しながら話...この感想を読む
古き良き英国紳士
日の名残りは素晴らしい映画だと思います。映像も美しく、音楽も素晴らしい、キャストも豪華で物語も静かながら抑揚があって素晴らしいです。ダーリントン卿に仕える執事スティーヴンスの人生の回想が主な物語になっています。スティーヴンス役をアンソニー・ホプキンス、ミス・ケントン役を エマ・トンプソンが演じ、それぞれ本当に役の人物そのものといった感じでした。回想の中でスティーヴンスとミス・ケントンはお互いに想いを寄せあいながらも、決して結実することはありませんでした。そんな淡い恋心を抱きつつ、再開を果たす二人が別々の人生を生きていることを受け入れ、再び別れるシーンは初老を迎えた男女とは思えぬほど切なかったです。
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