人生を変えたいという願望をテーマにしたミステリー
誰しもが感じたことがある平凡の虚しさ西村京太郎氏の作品の導入には、色々なパターンがあるが、この作品は誰もが一度は考えたことがある、一日くらい羽目を外してみたいという願望が物語の始まりになっている。同じような導入に、同じく西村氏の作品である「奥能登に吹く殺意の風」がある。この作品も、十津川の部下である北条刑事が、警察を辞めようか?と思ってしまうほど仕事に達成感を失ってしまい、休暇を取る。本来は平穏無事、判をついたような生活こそが幸せなのかもしれないが、時に人は日々のルーティンに疑問を持ったり、自分の仕事の意味、生きている意味、今まで考えもしなかったことがふと頭をよぎって、このままでいいのか?と考えることがある。この作品の登場人物、サラリーマンの酒井も、仕事をずる休みしてみようと思ったのはほんの出来心だった。それがとんでもないことに巻き込まれるきっかけになってしまったのは気の毒だが、誰もが...この感想を読む
4.54.5
PICKUP