夏の庭 The Friendsのあらすじ・作品解説
「夏の庭TheFriends」は湯本香樹実の小説作品であり、1992年に福武書店より出版された。この作品は日本児童文学者協会新人賞や児童文芸新人賞を受賞、さらにはボストン・グローブ=ホーン・ブック賞、ミルドレッド・バチェルダー賞を受賞するなど、日本のみならず海外でも高く評価され、多くの国で翻訳出版されている。また舞台化もされていて、1994年には相米慎二が監督を務め、三國連太郎、笑福亭鶴瓶などが出演し映画化された。 この作品は小学6年生の少年3人が人の「死」について興味を持ち始めるところから始まる。そこで好奇心から近所に住む老人に目をつけ、彼がどんな死に方をするのかを観察し始めるが、老人からたくさんのことを教えてもらうなどなぜか日に日に老人との交流が深まってしまっていた。「死」に対する興味本位で観察を始めた少年たちが最後にどう思い考えるのか、児童文学でありながら幅広い層でも支持されている一冊である。
夏の庭 The Friendsの評価
夏の庭 The Friendsの感想
3人の少年と、おじいさんの交流を描いた本
小学6年生の少年3人が、「死んだ人を見てみたい」という残酷で無邪気な好奇心で、近所から、もうすぐ死にそう、と言われている一人暮らしの老人(男性)を観察し始め、そのうち交流が始まり、友情が芽生える…という話です。いい話だと思います。子供に勧められる良書です。でも、私は読んだ事が無く、今回大人になってから読んだけど、それでもいい話だと思いました。おじいさんにとって、子供たちとの交流は、きっととても幸せな事だったと思います。買い物、室内の様子、洗濯、アイロンがけ、家の周りを綺麗にする事、家を修繕する事…草取り、コスモスの種まき、など、自分のためにではなく、きっと訪ねてくる、子供達のためにきちんと生活する事を始めたのだと思います。そして最後の葡萄…4人で食べられなくて残念だったなあと思うけれど、コスモスに囲まれ、葡萄の甘い香りに包まれて、少年達に発見されるのは、幸せな死に方なのでは、と思いまし...この感想を読む
秋の気配を感じる今にぴったりな本。
映画化もされている「夏の庭」。こどもの頃に読んでいろいろな想いをもらった本です。木山、山下、河辺の小学校最後の夏。死の瞬間を見たいという無邪気そして残酷すぎる好奇心から、もうすぐ死んでしまうという一人暮らしのおじいさんを見張ることにした三人。次第におじいさんと深く関わるようになって・・、おじいさんは最後に幸せな時間を過ごせたのかなと思います。最後に少年たちのためにおじいさんが用意していてくれた、ぶどう・・涙でした。少年たちの心情描写、純粋でまっすぐで、はっとします。読んでいる途中、胸の奥が苦しくなるけれどこどもの頃にかえって心が少しだけ洗われたような気持ちになります。死ぬこと。生きること。何かを伝えてくれる本。わが子にも読ませたいと思う一冊。
若年層向け!!
最初は、「ぼくら」の好奇心から始まった老人の「観察」。いつしか少年たちの「観察」は、老人との深い交流へと姿を変え始めていた…。私が最初にこの本を読んだのは中学生の時。子供ながらに、「老人」と「ぼくら」の絆に最後は大号泣。その時は「死」がテーマになっているお話だという認識だった。自分が大人になって再び読み返した時、もっともっと深い意味が見えた。最後に力強く歩きだす3人に勇気をもらった。「死」を知った時、「子供」は一歩「大人」になる。老人と過ごした夏は、3人の小学生にとって、きっと一生忘れることのない思い出になっただろう。個人的に、洗濯ものを干す場面がとても爽やかで、情景の描写が細かく、とても印象に残っている。