切なく、そして衝撃 - 容疑者Xの献身の感想

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容疑者Xの献身

4.674.67
文章力
4.45
ストーリー
4.60
キャラクター
4.25
設定
4.50
演出
4.25
感想数
12
読んだ人
40

切なく、そして衝撃

4.54.5
文章力
4.5
ストーリー
4.5
キャラクター
4.5
設定
4.0
演出
4.0

同じアパートに住む隣の母子が、離婚したろくでなしの亭主を誤って殺してしまったことから、物語は動き出します。隣人であり母に惚れている数学者の石神が、二人をかばうためにその天才的な頭脳でもって隠ぺいを図り、彼のかつての友人の物理学者のガリレオが真相を暴くために調査を開始します。 かばおうとした母には別の恋人ができようとするとストーカー的な偏執を見せる石神、揺れ動く母と子の愛憎。すべての物語が結末に向かって見事に収斂していきます。 トリックに関しては手練れの作者らしく、日常の描写の中に読者がだまされてしまう仕掛けが潜められています。そして本作の一番の魅力は、それほどトリッキーな罠が仕掛けられていながら、登場人物や全体の物語性が巧みな所です。薄っぺらいミステリーを想像すると勘違いします。 血の通った熱い心を持つ人間が、同じように悩み、苦しみ、そして行動し、結末を迎える。 明らかになった衝撃の真相とともに、読者はタイトルの真の意味と物語の展開を理解します。

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他のレビュアーの感想・評価

献身的な愛

ガリレオシリーズの中の一作ではあるが、物理学者湯川の側面よりも、一人の人間としての湯川の側面が表に出てくる今作。トリックに科学の一面がないわけではないが、人を思う気持ちがここまで大きなものになり得るのか、と感動すら覚える一作。他人を助けるために、ここまでのことができるのだろか、しかも見返りもなしに……。読後は、ラストのどんでん返しも驚きだが、この内面の問いの方が大きくなっていく。天才物理学者vs天才数学者、と煽りがつくことの多い本作だが、帝都大学(立ち位置は東大か)と高校の教師、スマートな湯川とだるまの石神など、ポジションもスタイルも、対比されて描かれている。映画化されるとき、堤真一が石神と聞いて、かっこよすぎる…と思ったが、これがまた、凄まじい好演で、ぴったりなのだ。少し老けた感じを出すために、前髪を抜いて額を広くしたという。映画もおすすめできる、傑作です。この感想を読む

5.05.0
  • saya0728saya0728
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  • 385文字

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