献身的な愛
ガリレオシリーズの中の一作ではあるが、物理学者湯川の側面よりも、 一人の人間としての湯川の側面が表に出てくる今作。 トリックに科学の一面がないわけではないが、 人を思う気持ちがここまで大きなものになり得るのか、と感動すら覚える一作。 他人を助けるために、ここまでのことができるのだろか、 しかも見返りもなしに……。 読後は、ラストのどんでん返しも驚きだが、この内面の問いの方が大きくなっていく。 天才物理学者vs天才数学者、と煽りがつくことの多い本作だが、 帝都大学(立ち位置は東大か)と高校の教師、スマートな湯川とだるまの石神など、 ポジションもスタイルも、対比されて描かれている。 映画化されるとき、堤真一が石神と聞いて、かっこよすぎる…と思ったが、 これがまた、凄まじい好演で、ぴったりなのだ。 少し老けた感じを出すために、前髪を抜いて額を広くしたという。 映画もおすすめできる、傑作です。
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