複雑に絡まり合った糸を解くのは占い?
タイトルどおり、夢(白昼夢)が告げる占い能力を持った貧乏神社の神官とその弟が探偵役を務める、畠中恵さんの江戸時代小説の1つです。あいまいで、当たるも八卦当たらぬも八卦だと思われていた『ゆめつげ』が秘めていた、とてつもない予言力と、それをそれぞれの思惑で利用しようとする大神社の神官、大店の店主夫婦、浪人者たちが、複雑に絡み合っていて、殺人事件が起きます。最初は誰が何を考えているのかまったくわからない上に、今回依頼された行方不明の息子探しの占い結果が占う度に変わる原因を占った本人自身も気づいていないため、まるで絡み合い、もつれあった糸の真ん中に放り出されたような感覚に陥ります。しかし、物語が進むにつれ、それぞれの思惑が明らかになり、『ゆめつげ』を繰り返すたびに生命力を削られていく主人公にハラハラさせられ、いつのまにか物語に引き込まれてしまいます。そして、圧巻は主人公が命がけで行った『ゆめつげ』・・・その内容は書きませんが、それを読んだ瞬間、私はゾッとしました。殺人の理由や息子探しの顛末はどちらかというと重苦しいものですが、主人公のおっとりした性格と最後のおだやかな締めに、ほっとさせられます。このほっこりした感じこそが、畠中ワールドだと私は思います。
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