世界からボクが消えたならの評価
世界からボクが消えたならの感想
世界から私が消えたなら
モノローグ「窓の外を眺めながら物思いにふけりたい時、お腹がいっぱいで単純に眠い時。そういう時は、お気に入りのチェアにゆったりと身を沈めて静かな時間を楽しみたいじゃないか。」出だしから、のんびりした気持ちになった。ご主人さまの朝食、コーヒーとトースト、それに目玉焼き。美味しそうでたまらなくなる。(笑)なんだか、ポカポカしている。月曜日 悪魔映画版でこの物語を観てからは、小説を読んでも 佐藤健さん、宮崎あおいさんが演じている時のイメージで 物語は再現され 進んでいった。当たり前と言えば、当たり前なのだが。始めの方でキャベツが、ご主人さまのことを「人間のオス」といっているのが、何だか可愛らしい。ご主人さまの歯ブラシの音を「シャコシャコ」と聞いている所の この「シャコシャコ」。このフレーズで初めて歯ブラシの音の鳴り方を聞いた。もう、歯ブラシの音は、「シャコシャコ」にしか聞こえない(笑)言葉を知...この感想を読む
視点だけでなく物語の内容自体が違う本
「世界から猫が消えたなら」とは別の物語と考えた方が良い「世界からボクが消えたなら」(以後、本書)は「世界から猫が消えたなら」(以後、前書)に登場する飼い猫『キャベツ』に視点を置き換えて執筆されている作品です。どちらの本も原作は川村元気ですが、こちらの本は涌井学著になっています。ということは、もちろんのこと文体が違います。川村元気の文体は非常にシンプルで一文が短いです。その分、1ページの中でも余白部分が多く感じられます。まるで絵コンテを見させられているような文体で、読み手に情景を上手に想像させてくれます。さすが映画プロデューサーといったところです。イメージを伝えるのが非常に上手いです。一方、涌井学はというと一般的な作家の文体と呼べるのではないでしょうか。もちろん原作が川村元気なのでなるべく川村元気に寄せている感じは匂ってきますが違うのが丸分かりです。一文一文の長さの違いや情景や心象の描写の...この感想を読む