ぬしさまへのあらすじ・作品解説
ぬしさまへは、畠中恵によるしゃばけシリーズの第2作目として、2003年に新潮社から刊行された短編時代ファンタジー小説である。 貿易商と薬問屋を営む大店の若旦那、一太郎は、冷たい風に少しでも当たれば寝込んでしまうような生粋の病弱人だが、困っている人がいれば黙っていられず、若旦那の暮らす離れに集まる怪(あやかし)達と協力して次々と事件を解決して行く物語となっている。 若旦那の離れに妖怪が一緒に暮らし、お菓子を奪い合って喧嘩をするなどファンタジー要素がやや強いが、しゃばけシリーズは江戸時代の庶民の暮らしや文化がリアルに描かれてもいるので、時代小説としても充分楽しめる作品となっている。 本作品では、若旦那を甘やかす兄やでもあり、怪でもある仁吉の意外な恋の真相も明らかとなり、特に女性読者から人気の一冊である。 2004年にはラジオドラマ第2弾として一太郎役を俳優の金子貴俊が演じ、2005年には文庫本として刊行された。
ぬしさまへの評価
ぬしさまへの感想
しゃばけシリーズ第二作目
しゃばけシリーズ第2作目の「ぬしさまへ」。第1作目の長編に続いて、今回は短編もので登場人物たちについてクローズアップされている印象です。「ぬしさまへ」、「栄吉の菓子」、「空のビードロ」、「四布の布団、「仁吉の思い人」、「虹を見し事」の6作が収録されています。どれも面白かったけれど個人的に特に良かったのは、松乃助が長崎屋に来るまでが描かれた「空のビードロ」にほろりとさせられました。そしてもうひとつ仁吉のせつない千年越しの恋話「仁吉の思い人」が印象的でした。愛すべきキャラ達が、ますます魅力を増していてステキです。読後も気持ちよく大満足な一冊です。
明るく楽しいお化け屋敷
この本の前作に出会ったのは、私が海外生活をしていたときでした。日本の本が読みたくて、(輸送代が含まれているので)ちょっと高いけれど届くのを楽しみに待っていたあの頃の記憶までよみがえります。日本の妖怪、お化けというと暗くて怖いイメージがありますが、この物語に出てくるのは優しい人間のおぼっちゃんとそれを守る二人の手代に化けた妖怪。そして物が古くなって妖怪になったものなどです。子鬼のようなものもたくさん住んでいますおぼっちゃんはお婆さんが狐の大妖怪だったため、妖怪が見えるという不思議な能力をもっています。でもとても病弱です。心優しいこの坊ちゃんが、妖怪の力を借りながら事件を解決します。
しゃばけシリーズ第2弾
江戸、長崎屋の若旦那と取り巻く妖達・・・しゃばけシリーズ第2弾です。今回は、若旦那が生まれる前の話も出てきます。仁吉の思い人、なんとなくわかっていたような、わかりたくなかったような。仁吉好きな私には少し淋しかったり。仁吉がなぜ、若旦那のそばにいまいるのか。若旦那のおばあさん、お母さんとのかかわりも出てきます。いつもの若旦那との微笑ましいお話というより、ちょっと切ないお話です。文字も大きめだし、話も分かりやすくすごく読みやすいので一気に読めます。この先も続いていくしゃばけシリーズ、もっと若旦那を、若旦那を取り巻く環境を理解するためにぜひ読んでみてください。