憂いあふれる最高の映画。
冒頭のシーンで一瞬引いたけれど、退屈しない、いい映画でした。 ウォン・カーワァイの映画は、この作品を見てから大好きになり、数ある監督作のなかでも、「何度でもみたい映画」のひとつになってしまいました。 ゲイのカップルのファイ(トニー・レオン)もウィン(レスリー・チャン)も、どちらも破綻しているのに、お互いを求めてしまう。 哀しみ・焦燥感、切なさが漂う映画。 ゲイ・カップルの話は好んで見るタイプではないけれど、この映画はそんなことぜんぜん気になりませんでした。 なんでもこの映画、撮影をしながら話を作っていった「なりゆきまかせ」的な映画だそうで、トニー・レオンの画面からあふれる哀愁漂う演技は、実は演技じゃなくて、マジで「かんべんしてくれよ」的な感じだったのかもな…なんて思いました。 「なりゆきまかせ」っぽく、途中からチャン・チェンが突然登場し、それまでの暗さがウソのように明るさを振りまくのですが、それがとても明るい未来を感じさせて、結果的に良かったんじゃないかと思います。 使用されている音楽も、ブエノスイアレスらしくアルゼンチン・タンゴ。 タイトルも舞台も音楽も南米の「熱」そのものですが、そんなものを感じさせない、憂いあふれる最高の映画だと思います。
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