死んでもいいの評価
死んでもいいの感想
やぶれかぶれの恋の行く末。
大竹しのぶ演じる人妻「名美」と、永瀬正敏がドップリ深みにはまった愛憎を魅せてくれる。監督の石井隆がピンク映画から描き続ける、ファムファタール的女に大竹しのぶが妙にマッチしている。その気もないのに若い男を狂わせ、なぜか夫を殺すしかない、という境地に話が突き進んでしまう、運命を狂わせる女にピッタリだった。「なぜか」って、ほんと、そう言いたくなる話なのだ。後半の夫・村木を殺害するシーンでは、見えそうで見えない、画面の奥の部屋の奥で七転八倒する、見苦しいシーンがとてもよくできている。この話に「恋」なんて言葉は似合わないかもしれない。けれど、ラストシーンで煙草を指に挟んだ名美はやけに美しく、頬を伝う涙がとても綺麗な水滴に見えてしまった。