真田広之だからこそ、の名作
おやおや、たそがれ清兵衛様はお帰りかい?・・・とからかわれながらも、自分の家族を一人で守るために黙々と自分の人生をひたすら歩む清兵衛に涙してしまいます。 胸が詰まる思いと同時に、観ていてなんてひどいんだろう、と怒りを覚えたのは、彼の先立ってしまった奥さんが自分の稼ぎについて不満をこぼしながら死んでいったというくだり。彼はいろんなことに気づきながらも奥さんを看取り、ボケてしまった母親、二人の娘を育てながら難題である仕事に立ち向かっていく・・・ 宮沢りえとの告白のシーンも、号泣してしまいました。 彼がはずかしい思いをしてしまうところなども、昔の日本人の繊細な心の行き来を見るようで、とても興味深いです。 また、真田さんならではの身のこなしあっての映画だと思います。 ふざけすぎだと怒られるかもしれませんが、「私は道場の末席を汚す身・・・」という謙虚で美しいセリフにしばらくハマり、普段の会話の中でよく使って遊んでいましたねぇ。 彼が友人の代わりに棍棒で相手をするシーンや、匂いがひどくてびっくりされるシーンなど、くすっと笑えるところもあるのですが、一貫した厳しさのようなものに、背筋をぴしっとしながら観てしまう作品だったと思います。 彼の最期についての描き方もいいと思います。 岸恵子の優しい声のナレーションも、ぐっときます。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)