壬生義士伝のあらすじ・作品解説
壬生義士伝は2003年に公開された映画作品である。この映画の原作は直木賞作家であり、数多くの時代小説を世に送り出したことでも知られる、浅田次郎氏にとっては初の同名時代小説が原作となっている。 この映画作品のあらすじは、激動の幕末の時代が過ぎ去り、時は明治の時代。とある老人が孫を連れて町医者に行くところからシーンが展開される。その町医者の待合室には、かつてその老人が新選組隊士として斎藤一と呼ばれていた頃に、同じ新選組の仲間として戦った吉村貫一郎の写真があり、その写真から老人が昔を回想するところから物語は始まっていく。 この映画作品は、当初の企画の段階で監督としてメガホンを取る予定だった、盛岡市出身の相米慎二氏が2001年に急逝したために、2003年に滝田洋二郎により映画化された。この映画作品は、2003年に日本アカデミー賞の最優秀作品賞を受賞した他にも、主人公を演じた中井貴一氏が最優秀主演男優賞、助演を務めた佐藤浩市氏が最優秀助演男優賞を受賞するなど、この年大注目の作品である。
壬生義士伝の評価
壬生義士伝の感想
ぎっしり詰め込まれた内容の考察
上映時間137分昨今の映画作品として、本編が長いものといえるのではないでしょうか。本編部分だけで2時間を超えているのです。小説が原作で、映画化された作品です。原作の小説は、上・中・下という形の3部構成です。長編の物語に分類できる作品だと考えられます。そして、それを映像化するにあたり、2時間17分という長さが必要だったのだとも考えられます。そして、原作のエピソードをできるだけ映像化したい、という制作スタッフの意図を感じ取れる部分です。制作スタッフの原作・コンテンツに対して、強い愛情や思い入れが感じられる事実なのではないでしょうか。時間を優先するのであれば、映像化する場面をカットして絞り込むこともできたと考えられます。しかし、それをせず、これだけの本編時間で制作したことは凄いことなのではないでしょうか。また、映画化される前に、ドラマ化され、地上波で放送もされています。ドラマ作品においては、...この感想を読む
新選組を題材にした傑作
舞台は幕末の京都、おなじみ新選組の話なのですが、主役は南部藩出身のみすぼらしい田舎侍・吉村貫一郎(中井貴一)大義の為に命をかける新選組の中、吉村は命と金に執着するあまりカッコよくない侍。これは命がけの出稼ぎに来ているがゆえの振る舞いで、東北に残した家族への愛がたっぷりの父親の生き様なのです。中井貴一の演技が最高です!お金の催促をする恥ずかしそうな顔も、腕の立つ侍としての凛々しい表情も吉村の人間像を魅力的に演じていました。新選組が衰退していく後半から最後にかけては涙なしでは観れません。とくに藩の屋敷にかくまわれて命を落とすシーンは号泣しました。この作品で中井貴一が大好きになりました
好きな映画
個人的に面白かった映画ですかね。原作が「おやじを泣かせまくる」という浅田氏の小説(未読です)であることを考えればそれは「泣かせ」の重要なシーンだったのかもしれませんが妙に鼻白んでしまいました。また藩主(?)の息子が当時を回想する形式が中途半端に使われていますが、その必然性はあまりなかったように感じられました。「男が男であった時代への郷愁(?)」を描くといった程度の目的だとしたらやめたほうがよかったと思います。物語が分断されてちょっと白けちゃいました。 と、いろいろ小言は言いましたが全体としてはとてもよい作品で、特に登場人物のひとりひとりのキャラクターが微細に描かれていて,どの役者の演技も光っていました。佳作だと思います。