『夏と秋の「におい」が半分になった』
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『夏と秋の「におい」が半分になった』
この作品の中で、一番印象に残ったセリフはこれである。なぜ印象に残ったのかというと、私も、「季節のにおい」を感じることがあるからだ。意外と、それを感じる人はいる。しかし、以外といない。高校時代に、季節のにおいがするね、と言って共感できた友達は1人しかいなかった。他のもう一人の子は、わからないという感じだった。なぜ、季節のにおいを感じる人と感じない人がいるのだろうか。私が、「季節のにおい」の概念を知ったのは母が、季節の変わり目に窓を開けた時に、よく口にしていたからだ。そもそも「季節のにおい」とは、具体的になんのことなのだろうか。パッっと、思いつくのは、気温。例えば、冬、前日まで寒かったが、急に気温が暖かくなる日などは確かに、春のにおいを感じる。他には、夏祭りの時も、夏の夜のにおいを感じる。この場合、虫の鳴き声、蒸し暑さ、屋台の食べ物の匂いなどが、夏の夜のにおいの要素だ。次に、漢字で考えてみる。「季節のにおい」というのは、「季節の匂い」と表現すると、全く表現されていない。では、「香り」にするとどうでしょうか。どちらかというと、「匂い」よりは「香り」に近いかもしれないが、やはり違う。これより、「季節のにおい」の「におい」は鼻だけで感じるものではないということがはっきりした。
そして「季節のにおい」とともに湧き上がってくる感情がある…。
それは、「懐かしさ」だ。例えば、1年前のあの時の感じだ…、小学生の時の運動会の朝の感じだ…という風である。きっとこれは、五感を使って、身体全体で、記憶されていたことが、それをもう一度、体験することで記憶が思い出されるからではないだろうか。
なぜ「季節のにおい」を感じる人と感じない人がいるのか。
またまた私の主観での解釈だが、「その時の、気温や風や音などによって懐かしさを感じる」という概念と「季節のにおい」という言葉が結びついていないからではないだろうか。私は、幼少期から、その概念を体験するたびに「季節のにおいがするね」と、母が言うのを聞いてきたために、概念と言葉が一致している。しかし、「季節のにおい」と言う言葉を耳にする機会がなかったら、概念は概念のままである。概念と言葉が結びつくことがなければ、「季節のにおい」と言ってもわからないだろう。
印象に残った2つの仁菜子のセリフ
1つ目は、先ほどの『夏と秋のにおいが半分になった』というセリフ。「季節のにおい」を、そういう風に感じたことは、今までなかった。夏のにおい、秋のにおい、という風に別々のものだった。仁菜子ちゃんが感じたように、私も感じてみたい。が、ちょっと待った!仁菜子ちゃんが、このセリフを口にする時の映像をみてみよう。階段下の大きな木の葉は緑色である、階段横の木々も緑色である、そして風は夏というよりも秋よりの過ごしやすそうな心地よさそうな風である、これは!!!!見事に、「夏のにおい」の要素と、「秋のにおい」の要素が、同居している!!。2つ目は、仁菜子ちゃんの『秋になったら何がしたい?』というセリフである。「夏休みになったら何がしたい?」というように、聞くことはあるが、そういう風に聞いたことはない。つまり、大きな休みについて何がしたいかを聞くことはあるが、大きな休みに何がしたいかではなく、ただ秋について何がしたいかを聞いたことはないのだ。高校生がいう、夏に何がしたい?は、つまり夏は夏休みのことである。冬は、冬休みのことである。「春になったら何がしたい?」と「秋になったら何がしたい?」。「夏になったら何がしたい?」と「冬になったら何がしたい?」。私は、この2組がもってるニュアンスは違うように感じる。なにが違うのだろうか。違いをピックアップしてみよう。前者は、お花見、紅葉を見にいくなど、後者に比べると選択肢が少ない。後者は、流しそうめん、プール、スイカ割り、スキー、雪合戦など、選択肢が多い。また、前者はその季節が来ることを楽しみしてる気がする。後者は、まず休日が楽しみで、その後に季節の楽しみがきてる気がする。(これは、私の好みの問題であるのかもしれないが笑)
季節の移り変わりを感じる
季節の移り変わりを感じたり、春のポカポカな感じを楽しんだり、冬の星空を見たりするのは素敵だなあ。なぜなら、その時はきっと心が穏やかで、周りの人のことを考えられるし、優しくできると思うからである。この作品のサウンドトラックを聞いている時も、優しい気持ちになれる。仁菜子ちゃんの2つのセリフを題材にして、当たり前だけど、心は言葉に表れるし、自分で口にする言葉は、自分の心にも影響を与えると思う。口にする言葉も、その人のキャラクターを作っている要素であることに気付いた。何気なく口にする言葉が自分を作ってる要素で、もっと言えば、言葉も自分だから、すてきな言葉を声にしたい。
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