それでもボクはやってないのあらすじ・作品解説
「それでもボクはやってない」は2007年1月に公開された周防正行監督の作品である。本作は「痴漢冤罪」に焦点を当て、監督自身により3年以上にわたって行われた綿密な取材に基づいて作られた。 加瀬亮演じる金子徹平はたまたま乗り合わせた電車で痴漢に間違われてしまう。徹平の必死の訴えは聞き入られることなく、警察により逮捕されてしまう。役所広司演じる元裁判官の弁護士を中心に、新人弁護士、徹平の母、徹平の親友は一貫して徹平の無実を主張するも、その戦いは1年以上にわたった。運命の法廷で徹平に下される判決はいかに。 日本アカデミー賞を独占した周防監督の代表作「Shall we ダンス?」のスタッフが集結し完成した"渾身"の作品は、日本の刑事裁判制度における問題点を見る者に訴えかける"とことん社会派"な作品となった。 本作は第31回日本アカデミー賞では優秀作品賞をはじめ11部門で最優秀賞に輝き、主人公を演じた加瀬亮も数々の主演男優賞を受賞した。
それでもボクはやってないの評価
それでもボクはやってないの感想
いつ身近に起こるか分からない事件
この痴漢の冤罪って増えている気がします。触られた女性も悪気はないんだけれども、やはり自分の体に誰かの手が当たると「触られた!」と近くの人を疑ったりしてしまうようです。この主人公もスーツがドアに挟まれてもぞもぞしていたということで犯人扱い、確かにその近くで痴漢が起これば一番に疑われる行動なのかも。最近では疑われないように両手を上にあげて電車に乗るという男性もいるくらいだから、本当にいつ身近で起こってもおかしくない事件。だからこそ真剣に見てしまう作品でした。この映画の場合は周りにいろいろと協力をしてくれる人などがいたからいいものの、実際は…といったところが胸に残りました。
正しいことって何なのでしょうかね?
映画に何を求めるかという話になってしまいますが、ハリウッドのような派手なアクションや、韓流のようなチープなお涙頂戴映画が好きな方には不向きかもしれません。しかし、「正しいことって何なのかな?」と今の司法制度などに疑問をぶつけており、日本人みんなが観て意見を言い合いたい映画だと思います。やってもいないことをやったと認めて釈放されることが正義なのか、それとも地位も名誉も失ってでも最後まで戦い続ける事が正しいのか、もし自分だったら、もし知り合いがこんな目に遭ったとしたらと観終わったあとズシリと考えさせられる良質な映画です。こんなに考えさせられる映画はイーストウッド監督の「ミリオンダラーベイビー」以来です。それにしても主演の加地亮さん演技うまいですよね。この映画のような少し気弱なフリーター役もぴったりですが、アウトレイジの役もなかなかだったし、インスタント沼でのぶっとんだ役も秀逸。日本映画界を...この感想を読む
大事な人がもし…と考えながら観ました。
観れば観るほど、痴漢で無罪を立証するのは無理なんじゃないかと思える内容で、切なくなりました。ボクはやっていないのに。すごく考えさせられました。もし大事な人が、夫だったり子供だったりが訴えられた場合、どうすればいいのか。すごく、現実味のある内容で、臨場感が半端ないので観ていて疲れてしまいました。こんなに良く出来た映画なのに最後はすっきり終わらないんだから、そこがリアルなんだろうなぁと思います。本当に切なくなりました。これでもかと、痴漢をしていない証拠を集めても、最後、何も報われない。こんなことがあって良いのかと、本当に思って疲れてしまいました。