何とかしようとしてこの程度なんだよ!この程度なんだオレは!
小泉風介
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思っていた様な内容とはかなり違っていて良い意味で裏切ってくれた作品でした。バレー部のキャプテンだった桐島が周りに何の相談もなく突然部活を辞める事で同級生達の感情の動きを色んな角度から表している映画なのですが肝心な桐島が姿を表さない。登場人物が沢山出てきますがその人達全ての中心に桐島がいます。桐島は姿を表さないのに映画をみている私でさえも桐島の事で頭がいっぱいになってしまいました。「もう放っておいてやれよ」桐島見た事ないのに…「桐島も迷惑してるよ」桐島見た事ないのに…私なりの桐島象が存在していました。甘酸っぱいだけじゃ片付けられない様な青春ムービーです。
私にも日常生活のちょっとした事が事件になっていた高校生という時代があった事を思い出した。高校生にとっては部活を辞める事でも一大事なのだ自分自身にとっても周りの人間にとっても行動全てに理由という名前をつけなければいけないそれが集団行動というものなんだと思うあと自分が思い悩み苦しんでいる事があって悩みぬいたあげく行動しようと思ってもその前に周りの人間に話しておかないと「冷たい人間」とされてしまいがち。桐島という生徒が部活を辞めた事から色んな生徒の感情が動き始める。青春ムービーなのだが見終わってからのあの感じを言葉に表すのはとても難しい本当に見た人だけが味わえるものがこの作品には詰まっていると思います。
これは台詞で説明しなくても、見ている人に意味が判る、言うならば文学作品だ。日本の映画は面白くないといわれ。るのは、台詞が全ての説明になっていて、現実感と離れて、おもちゃじみてる学芸会の自己満足で満足しているからだろう。この映画は映画の醍醐味でも在る、その場の人の気持ちになってしまえる。生きている意味と聞かれても答えられないけど、生きていかなきゃいけないと言う長い時間が先に待ち受けていることに対する怯えと、どう対処していかなければと言う大人になる前のヤングアダルトの切なささが滲み出ている。その時期を越えて、大人になってしまってから見ると、ああこんなに時が過ぎてきたんだと、胸を捕まれるだろう。映画として傑作である。
小泉風介
バレー部のリベロの正レギュラーだった桐島が突然部活に来なくなり、ずっと補欠だった風太がレギュラーになったが、次の日の試合で実力不足により敗戦。その次の練習で桐島が来ないことの当てつけをされた時の風太。
前田涼也
前田が劇中劇でゾンビを演じた際の台詞で、彼らの学校生活そのものを表している。