チートの素晴らしき世界
る当時の世界情勢を知らしめた作品
今から20年以上前は、国際的な仕事を目指す人間の学生には、MASTERキートンは指定図書みたいなものでした。この本には当時の世界情勢がたくさん詰め込まれています。今は亡き東ドイツで起こった数々の悲劇、東西ドイツの統合により何が良くなり、何がダメになったのか。懐かしい響きの東西冷戦下に行きていた私達には冷戦における矛盾や、理想と現実を考えることを突きつけた作品です。あの時代は戦いと融合が入り混じっていました。冷戦終了後の東欧諸国の経済破綻、人種憎悪犯罪、ネットの発達していない時代に現地で起きているであろう事実を、漫画という柔らかい媒体で教えてくれた漫画です。それだけではなく、考古学に基づいた文明の話や美しい建造物の話に、人間はちゃんといきているんだよとメッセージをこめていました。ヨーロッパ各国の話がメインなので、各国の雰囲気や抱える問題、英国ならIRAとSASの対立の流れや、ラマとナチス残党の因縁など、歴史好きにはたまらない漫画です。時々は泣きながら観る漫画でもあります。この漫画を読むことで、全く知らなかった遠くの国で起こりえたかもしれない話を知るこどかできます。
主人公のオールマイティさ
主役は日英ハーフでオックスフォード出身のインテリなのに元SASの隊員。その上考古学者でそのお金の為にロイドのオプ・・・これをチートと言わずになんと表すのでしょう。羨ましい人生。本気で自分もSAS隊員かオプになりたかった。彼の人生を生きたかった…本気で思います。でも、こんなオールマイティな人間いるか?と疑問に思います。なのに、破天荒な父親と娘がいつも見守っています。帰る場所もあるのです。人間恵まれた人と、そうでない人の差は何なのでしょうね。漫画を観ながらいつも「この人になりたい」と思うのですが、そこが難しい。でも彼のチートさは間違いなく、頭脳明晰であり問題解決に導ける、かつ道徳心や倫理観は揺らぐことはない。だからいつも難しい事情が絡んでも解決に導ける。その落差が難しいだけではなく、ギャグ漫画?一般人にはとてもなることができない、ヒーローなような存在なんです。そんなヒーローが作れたのも英国という日本ではない場所だからではないか?と考えます。英国では学者目指しながら学校に行って、その後軍隊に入って、それから頭の良さと行動力と自分を守る力を持ってるサラリーマンが普通にいそうです。
現実と夢と、読者の期待
主人公の現実はオプとしてあの激動の時代に、沢山の国・国民・民族の為に手助けすることで、夢は考古学者としての壮大なものでした。
でも、読者として期待するのは、夢を叶えられるのか?全巻おえて、その先に起こっている世界の問題を解決しているのか?そんな姿をもっともっと見たい・読みたいことが読者の期待です。
昔の漫画と侮らず、世界の過去を是非堪能してもらいたいです。
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