あの球が卑怯などとは、とんでもない甘ったれたお話。テニスというスポーツは、自分がいかに平常心を保ち、相手を心身ともにいかに打ちのめすかにかかっているのです。
鳳唄子
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漫画レビュー数 3,136件
海野幸を取り巻く不運と闇冒頭から読者をひっぱり込むストーリー展開はさすがだと思う。スポーツ漫画でここまでどん底から始まる作品はそうはないのではないか。主人公の海野幸はバイトをしながら3人の弟妹を育てている。ただでさえ貧乏生活を送っている中(その生活の中で特徴的に描かれるのは、時に「具がない」と言われるカレー。これは食べてみたいマンガの中の食べ物のひとつだ)いきなり2億5千万もの借金を背負わされて風俗に行かなくてはいけないところまで追い詰められる。そして、その借金をテニスの試合での賞金で返そうと決意した海野幸の壮絶(と言ってもいいと思う)な生き方が始まっていのだが…。もともとテニスのずば抜けた才能がありながら、両親の死によって諦めざるを得なかったという闘志に火がついたというのも借金というのは皮肉な話だが、いくら才能があってもテニスで稼ぐなんて並大抵のことではないことくらい素人にも分かる。...この感想を読む
主人公 『猪熊 柔』と『海野 幸』Wikiによると『YAWARA!』が大ヒットしたので、次の作品もスポーツもので、と編集部から要請があったらしい。タイトルの感じが『YAWARA!』と『Happy!』は似ているが、敢えてなのか、登場人物も似ている部分が多い。ここでは主要キャラを徹底比較してみようと思う。主人公はどちらも女子高校生。外見はどちらも黒髪セミロング。顔のパーツも似ていて、まあまあ可愛い、というのも同じ。作者は人物の描き分けがかなり上手いのにもかかわらず、ここまで見た目が似ているのは、敢えて似せている、という事だと思われる。次に競技の実力と人気を比較してみる。柔は柔道、幸はテニスである。柔は幼少期から、毎日欠かす事無く稽古をしており、対戦して負けた事は無く、48kg以下級の選手でありながら、オリンピックの無差別級で金メダルを獲るという凄まじい実力の持ち主。ゆえに柔は日本ではもちろん、世界でも人気のスーパース...この感想を読む
『HAPPY!』の登場人物は『YAWARA!』キャラクターを模している日本国民に女子柔道ブームを巻き起こした浦沢直樹の傑作といえば『YAWARA!』である。主人公、猪熊柔(いのくまやわら)は、柔道一家に生まれた天才柔道少女。しかし柔は柔道が家族をバラバラにさせてしまったのだと考え、有り余る柔道の才能を持ちながら普通の女の子として生きていきたいと望んでいる。にもかかわらず、彼女の周りにはその柔道の強さに惹かれた人々が集まり始め、いつのまにか柔自身も柔道と真剣に向き合うようになる…というストーリー。普通のかわいい女の子が一本背負いで自分の倍もある選手をばしばし投げ飛ばす!この爽快なストーリーの中で、柔はいつも大歓声に包まれている。本人が望んでいるかはさておいて…。そして『YAWARA!』連載終了後、はじまったもう一つの浦沢スポーツ物。それが『HAPPY!』だった。『HAPPY!』完全版の最終巻で浦沢直樹自身が語っているが、『YAWA...この感想を読む
鳳唄子
主人公・海野幸が打つネットに引っかかって相手のコートに落ちるボールを、マスコミが「卑怯じゃないのか」とインタヴューした時の答え