破茶滅茶ぶりが見所 - ウルフ・オブ・ウォールストリートの感想

理解が深まる映画レビューサイト

映画レビュー数 5,784件

破茶滅茶ぶりが見所

4.04.0
映像
4.5
脚本
5.0
キャスト
4.0
音楽
4.5
演出
5.0

目次

ディカプリオのイメージが変わる

ディカプリオといえば演技の評価が高いハリウッドスターといったイメージ。
いわずと知れた名作であるタイタニックなどの美少年時代から今も称賛される知的障害者の役、シャッターアイランドのような難しいシリアスな演技までなんでもこなす俳優です。
その度、やはりディカプリオは演技がすごいと見惚れてしまうのですがこちらの映画を見ると大丈夫?ディカプリオ!と叫びたくなってしまいます。
ディカプリオ演じるジョーダンは裕福でも学歴があるわけでもない、いたって普通の男。
ですがずば抜けたビジネスセンスで億万長者にまで登りつめるというストーリーになっています。
実話を元に作られた作品と聞いていましたがこんなに壮絶な人生を送ったの?と少し疑ってしまうほど波乱万丈です。
ジョーダンは成功者の傍らドラッグ中毒者でありセックス中毒者でもあります。
作品を鑑賞し始めてすぐに顔を背けたくなるセックスシーンがスタートし本当にディカプリオ?と疑ってしまうほどなんでもありなんです。
セックスシーンには免疫がある方ですがまぁ次から次へと呆れてしまうほどセックスシーンが多いです。
それに負けず劣らずのドラッグ常習シーンはディカプリオが白目向いているようなイメージを損なう普通なら最悪のシーンと言えます。
よくこの映画の出演を快諾したなと思えるほど過激なので決して家族で見るようなファミリー映画ではありません。
それでも最後まで見届けてしまうのはディカプリオの体を張った演技につきると思います。
特に人生の絶頂を迎えた時と人生最大の破滅を迎えた時のディカプリオの様子は必見です。

実話だから面白い

この映画の面白いところは億万長者の人生を間近で見ていたようなリアルな感覚です。
私のような一般庶民には億万長者と接する機会ってまずないわけですが億万長者だって私達となんにも変わらないじゃんって思えてしまいます。
勝ち組が成功者になるわけではなく一般家庭からも成功者になるケースはいくらでもあります。
要は本人のやる気次第であり今作では人一倍強い野望をもったジョーダンが勝ち組になったわけです。
ですが人のトップに立つにはたくさんの犠牲が必要となっていきます。
まず周りの環境が変わる事で自分の趣味嗜好は格段に違っていきます。
すると自然と今の生活水準を上げていくので女性も変わりますし、住む家やお金の使い方が変わっていきます。
ジョーダンの場合は生活をするのがやっとだった冴えない時代から支えてくれた妻から新しく出会った綺麗な妻へと変えていきます。
大きな家を構えお手伝いさんを雇い自家高級車に自家用クルザーは贅沢の極みと言えます。
成功者の元にはお金を求めて女も男も群がるように集まるものですがお金がなくなれば人は突然消えていなくなってしまうものなのです。
人生には必ず幸福な時代があれば不幸も待っています。
人を見下したり騙して相手に傷をつけてしまうと必ずしっぺ返しが待っていて後悔した頃には遅いわけです。
それでもたった一人にならなければ最後まで分からないという人間のもろさも同時に感じる事が出来ます。

改めて感じた事ですが本当の幸せとはどういう事なのかお金があれば幸せなのか、普通の平凡な家庭が幸せなのか。
コメディタッチで描かれた作品ではありますが私は少し違う視点からこの作品を観る事が出来ました。

アメリカの国民性

私の勝手な感じ方でもありますがアメリカとは普通が無いような国だなと思うのです。
大国だけに貧富の差は激しいし太っている人はヘビー級に太っていて痩せている人はモデル級にスタイルがいい。
成功者を見ていてもすぐにアルコールやドラッグに走りセックス依存症になって結婚と離婚を繰り返してしまうというオチ。
男性から見れば欲望のままに走り抜ける本作を見ているとワクワクドキドキ感があり楽しいのだろうなと感じます。
ですが女性の私から見るとアメリカという大国は改めて普通がない国だなと思うのです。
日本では考えられない大きさで物事が運ぶので日本人の私には理解しがたい事がたくさん出てきます。
もし日本の企業に本作のような会社があるとしたら、そのような会社にこんな社員がいたらと思うと怖くなってしまいます。
めちゃくちゃ過ぎてアメリカのイメージがどんどん悪くなっていくのに上映して良かったの?と心配になってしまうほど。
それでも3時間という長編映画を楽しめるのはマーティンスコセッシのセンス溢れる作品の魅せ方だと思います。
過激なシーンの連続で正直しんどいと思うところも数カ所ありましたがクスッと笑ってしまうシーンが用意してあるので切り抜けられるのです。
笑っている自分に気づいて案外この映画を観て楽しんでいる自分がいる事に驚かされるのです。
こんなぶっ壊れたディカプリオを見れるのもマーティンスコセッシとの信頼関係があってこそだと思います。
怖いんだけれどやっぱり気になるといったお化け屋敷や絶叫アトラクションのような気分で楽しむ作品です。

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

他のレビュアーの感想・評価

ディカプリオの力と、事実という衝撃的な事実。

評価と実情の境目に埋もれてしまう視聴者は多数いる作品。アカデミー賞に関わった作品は、非常に素晴らしいものである。この作品においてもディカプリオの主演男優賞ノミネートを皮切りに、多数の部門でノミネートを果たしている。しかし、この作品は、アカデミー賞とは無関係に好ましくない映画である。ストーリーは事実に基づく投資家の金とドラッグが入り混じった異常な企業を描いている。もちろん見どころはある。ディカプリオの演技しかり、マーティン・スコセッシの監督手腕であったり。また、この生々しく異常な会社が、おおよそ誇張を受けていた事が前提だが、存在していたという事実こそが、まさに見どころと呼ぶべきものだろう。しかし、あまりにも異常なのだ。アメリカですらそういった評価を受けた作品であるこの作品が、日本で評価をもらえるわけもなく、また執筆者である自分も、この作品を良かったとは言い難い。というのも、パッケージで凛...この感想を読む

3.03.0
  • augusuaugusu
  • 76view
  • 2124文字
PICKUP

関連するタグ

ウルフ・オブ・ウォールストリートが好きな人におすすめの映画

ページの先頭へ