登場人物の誰もが嘘つき - ダイイング・アイの感想

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ダイイング・アイ

5.005.00
文章力
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ストーリー
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キャラクター
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登場人物の誰もが嘘つき

5.05.0
文章力
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
4.5
設定
4.5
演出
5.0

目次

物語が進んでいくスピード感

読み始めた時は、妻を交通事故で亡くした男性の復讐の話かと思いましたが、瑠璃子という女性が現れて、慎介が少しずつ記憶を取り戻すたびに展開が面白くなり、またスピード感が出てきたと思います。
始めは慎介が岸中怜二に殺されかけたところからで、ゆっくりと進んでいましたが、慎介が過去に事故を起こしていることが分かったところから徐々にスピードアップしていった印象です。
特に、瑠璃子が現れてからの慎介の行動は、的確な行動で読んでいてスッキリしました。
例えば、木内のことを調べる時など明言はしないが刑事の名刺を見せたり、岸中の隣の部屋での尋問など行動は分かりやすく迅速で、また着実に成果を挙げているのが読んでいて気持ちが良かった。
終盤になって、江島や成美、木内など周辺の人物が実はすべて交通事件について情報があり、なお慎介をだましていた関係者だと明かされていく展開は急速でしたが驚きもあったし、納得もできた。

リアリティのある描写で映像が思い浮かぶ

プロローグの、美菜絵が交通事故にあい「死にたくない」という思いを持ちながら肉体が滅んでいくシーンがとてもリアルな印象を持ち、惹きつけられました。
車と肉体が当たって、骨が砕ける内臓が潰れていく感触の表現がとてもリアルで、いきなりこの本の虜になりました。
そこからの展開は静かに進みますが、瑠璃子が現れて慎介がタワーマンションに監禁された時のシーンもリアルで惹きつけられました。
「その目には感情らしきものがなかった・・・ガラス玉を埋め込んであるよう。」これで瑠璃子の顔が誰に似ているのかが分かり、岸中美菜絵と判明したあとの慎介の呆然をした感じが映像を見ているような描写で一気に読み進みました。
そして最後の江島が瑠璃子を殺すシーン、感情のないであろう顔の瑠璃子が江島に対し「あたしを殺しなさい」と言い江島ににじり寄る姿や、その江島が瑠璃子に怯えながらも殺そうとするシーンも読みながらすぐに映像が出てくるくらい鮮明で迫力がありました。

ストーリー展開の上手さ

中盤はSF的な話へと展開しそうになりましたが、幽霊やマネキンが動くと言うようなオカルト的なことはきちんと否定してくれて安心しました。
瑠璃子が実は上原ミドリが変身しているんだということ、そのミドリがなぜ瑠璃子として変身するようになったのかなど、慎介の行動と失われていた記憶の回復と同時進行で丁寧に解説されていきました。
同時進行で少しづつ真実が明らかにされていくというストーリー展開は、つい時間を忘れて一気読みしてしまいました。
そして、最後まで読むとやはり帯にもあるとおり、「誰もが少しづつ嘘をつき、誰かを陥れようとしている」この意味を理解するためにも、もう1度すべての登場人物の言動を改めて読み返したいと思わせる1冊でありました。

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