カッコウの卵は誰のもののあらすじ・作品解説
カッコウの卵は誰のものは、東野圭吾の長編サスペンス小説である。光文社より刊行されているスポーツ月刊誌「バーサス」、月間小説誌「小説宝石」にて掲載され2010年1月20日に光文社より単行本が刊行された。 緋田宏昌は、往年のトップスキーヤーであったが、妻の死をキッカケに驚くべき真実を知る。一人娘の風美は緋田宏昌の実の娘ではなかったのである…。そんな真実に悩まされながらも、風美に愛情を注ぎ育て、自身をも凌ぐスキーヤーに成長した。ある日、二人の前に遺伝子の関係を研究している科学者が現れ協力を申し込まれ、娘の出生の秘密が気になっていた緋田であったが、拒否していた。一方、風美に大会出場をさせまいと妨害する脅迫者が現れ…。 東野圭吾は1958年2月4日生まれ、大阪府大阪市生野区生まれであり、ミステリー・サスペンスのジャンルで活躍している。1985年に江戸川乱歩賞、2006年に直木三十五賞を受賞するなど数々の賞を受賞している。
カッコウの卵は誰のものの評価
カッコウの卵は誰のものの感想
どんどん読み進められます
先が気になりどんどん読み進めてしまうところは、他の東野作品と同じです。やっぱり筆力がありますよね。ただし、さんざん気にならせておいてそのラスト!?と思ってしまうところはありました。だって…病室で事故装置作ってたら看護師や見舞客に絶対バレるでしょ!歩くのすらやっと、という産後に、誘拐なんてできないだろー!種明かしの仕方が、ぜんぶ手紙って…他に方法なかったの??もっと、しっくりとくるラストにしてほしかった。タイトルも、テーマも、表紙の絵も、素晴らしいだけに、ラストがただただ拍子抜けでした。面白かったことには変わりありませんけどね。
タイトルに惹かれて
面白いタイトルに惹かれた。東野さん、上手い。才能あるスキーヤーである娘と血が繋がっていない父親、娘の出生の秘密。素晴らしいスポーツのDNAを持つ高校生の男の子。この2本が軸になって展開していく。が、結論へ向けての流れが強引だと感じた。登場人物の人数の割には、ストーリーが短いのが原因だろうか。「スポーツ」「遺伝子」「ミステリー」・・・読者の好みの視点から楽しむことができる作品なのではないだろうか。私は「親子愛」という視点で読んだ。「カッコウの卵」は別に誰のものでもない。育ての親・生みの親、という題材で書かれている小説は山ほどあるが、その視点から読むと、この作品は悪くない。スピーディーに読めるし、絡まりもまぁ上手くできてはいる。東野圭吾作品の中では、サクっと読む部類に入るのだろう。
親子とは何かを問う作品
遺伝子をテーマにした小説です。推理小説というよりは、親子と何か、才能とは何か、遺伝子とは何かを問う作品となっていると思います。テーマはとっつきやすいものではありませんが、スキーというスポーツを通していること、東野圭吾さんの文章力の秀逸なことでスラスラと読むことができます。主な登場人物は、元プロースキーヤーの親子、スキーの才能を見込まれた男の子です。元プロスキーヤー親子の出生の秘密を巡る物語展開が軸となるのですが、非常に緻密に物語が練られています。私は物語を読み進めるうち何度か予想を裏切られました。東野圭吾作品の中では割と軽い部類の物語に入るのではないかと思いますが、一定の水準を保った良作品です。