レイクサイドの評価
レイクサイドの感想
もっと早く読んでおけばよかった作品
東野圭吾作品はほとんど読んでいる私ですが、この作品はなぜか手を付けていませんでした。イマイチ触手が動かなかったのと、比較的コンパクトにまとめられた作品であるため、もっと読みごたえがある作品が良いなと思っていたのが理由です。しかし、実際にこの作品を読んでみて、なぜこの作品をもっと早く読んでおかなかったのだと思わされました。基本的にはこの作品は推理小説に分類されます。しかし、物語のテーマは、受験にまつわる親子間や保護者間などの話、親子、夫婦の関係性など多岐に渡ります。二転三転するミステリー部分も含め、物語としても十分に楽しめる作品となっています。コンパクトにまとまってはいますが、読みごたえは十分にあります。
事件と人生と決断
『合宿』という名のもと集まった複数の家族。そこはまさに名のごとし『レイクサイド』である。そこで起きる事件の真相を最後までちらつかせながら、巧いミスリードにより、読者を『レイクサイド』の中から帰さない。東野作品としては、読みやすい部類に当たるだろう。ページ数も少なく、人物が多いわけでもない。いかに事件がどういう影を持っているかを、推理しながら読むことができる。推理小説が苦手だという人にもおすすめできる作品だ。家族と、殺人。殺人と、家族。決して釣り合わないように見えるこの二つの天秤に、どういう仕掛けが施されているのか。そして、最後に「決断」するのは誰なのか。その決断とは一体何か。もし自分が、このような立場になったら、本当はどうするのだろう―心に問いかけたくなる、そんな作品だと思う。