北斗の拳の魅力とは?
葛藤の中で生きるキャラ達覚える不思議な感情
北斗の拳の中で多用されているワードの一つに「宿命」という言葉がある。ケンシロウはじめ作品の中に登場するキャラクターはこの宿命に従って自分の行うべき役回りを自分のエゴを捨ててまで理解し、ある種演じている。師が一人で弟子が複数いて最終的に一人しか北斗神拳を継承できない、これが北斗の拳の中での宿命の意味だ。時として兄弟で殺しあうことも強いられる。それぞれのキャラクターたちの宿命とエゴの葛藤は北斗の拳の面白さ、奥深さの要素になっていることは間違いない。読み進めていくうちに極悪非道だと思っていたキャラクターが宿命のために自ら悪役となっていることに気づかされ彼らに感情移入している自分がいる。そして、誰が正しいのかわからなくなり形容できない虚しさのようなものを覚える。これは北斗の拳の魅力だ。
救いがたい悪役を叩きのめす痛快さ
北斗の拳の魅力は何か?と聞かれたときに単純に思いつくのが痛快さだと思う。北斗の拳には救いようの無い極悪非道の悪党が多く登場する。中には宿命に従って行動してるがゆえに悪党となっているものもいるが、多くはただの悪党である。キバ一族や、カサンドラの獄長のウイグルが良い例である。弱いものを痛めつけ非道な方法で殺す。読んでいるこちらがやるせない気持ちになるが、そういうときは大概ケンシロウが叩きのめしてくれる。まさに勧善懲悪。悪役がケンシロウの手でボコボコにされている姿はこちらが同情したくもなるが、やっていることがあまりにも悪すぎるので、読み手としては「痛快」という感情を覚えることができるのだ。
成長、人生を見ることでキャラに深さが
北斗の拳に出てくる人物で北斗神拳の伝承者たちは過去の回想シーンが必ずある。ケンシロウとラオウが修行しているシーンは印象的だった。このほかにもトキやユリアの過去の回想シーンが出てくる。過去の回想シーンを入れることはそれぞれのキャラクターたちのルーツを見ることである。私たちは無意識のうちに誰かの過去を見るとその過去と今を比較してその人物の持つ性格に納得する。例えば、昔からケンシロウは心優しく今も変わらない、やっぱりケンシロウは根っから優しいのかと思うし、昔心優しかったラオウは今は悪役となっている、何か大きな何かがあったのではないのだろうか?と思う。この過去の回想こそキャラクターを際立たせている。また、バットは初回から登場しているが、長くに渡り重要なキャラとして登場する。幼いころから見ているが故に大人びるにつれて頼もしく見えてくるのもある種読み手の我々がしっかりとキャラクター像を持っているが故ではないだろうか。
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