コジマの人間性は理解しがたい
いじめ描写がリアル
この小説は中学生の男子と女子がそれぞれ学校でいじめにあっていて、仲間という意識を高めて行くわけですが、あくまでも誰もしらないところでの仲間であって実際のいじめのところではお互いを助けるということは最後の最後の部分だけだったからひたすら学校ではいじめのシーンばかりの描写だったからけっこうきつかったです。
本の中の半分以上はいじめ描写ではないかというくらいふんだんにいろんないじめが描かれていて恐ろしいです。
いまどきなのかどうかしらないですが、証拠を残さないようにいじめるというのは親側の立場として、子供のいじめを早期発見するきっかけがないだけに不安になりました。
いじめる側もとくに理由はなくて、そこにたまたまいたからというだけの理由で単なるストレス発散なのだろうけど、罪悪感もまったくないとかどういう風に育てたらそういう神経に育つのかとただただムカムカしていました。
ここまでされたらたぶん自殺するとは思う。死んだ方が楽だって思考になってもしかたないと思ってしまうかも。
普通なら不登校という形もとれたのに、それができなかったのはやはり男子のほうも女子のほうもそれぞれ家庭に問題があるからなんでしょうか。
どちらも片親が再婚したということだから。
ただ、いじめはあくまでいじめる側が悪いとは思うけど、いじめられやすい子というのはあるなと読んでいて思いました。
反撃できない人間はやられてしまうということなのだなと。
戦争と同じで殺さなければ殺されると思って生きて行かないといけないのでしょうか。
今は子供でもネット社会でいろんな知らなくてもいい情報を知っちゃうから、それを試してみたくていじめという名の殺人未遂(あるいは殺人)を簡単にやってしまうから。
加減を知らないと言うか、死んでもいいと思ってやってるのかもしれないけど、それよりもおもしろそうのほうが先にきているのでしょうか。
YOUTUBEで視聴数を稼ぐためにいじめ動画をアップするとか。
なにかすっきりしない終わり方
結局のところ、いじめは学校にばれたろうし(二ノ宮たちが認めたかどうかはわからないまま)親にも伝わって学校行かなくてもいいと言われたけど、親はこれから離婚するかもしれないし母親は血がつながってないし。
手術して斜視を治して美しい世界だったって終わりだったけど、これはいい意味で捉えるべきなのかたいしたことなかったということなんだろうかよくわからなかったです。
ものすごくこだわってきたわりには治しても世界はたいして変わらないって言いたいのかな?
裸のまま保護された女子コジマはその後登場しないままラストを迎えたわけで、2人のその後はどうなったのだ~と気がかりです。
主人公の男子はたぶんコジマを好きだったというか異性の対象としてみていたのかもしれないけど、コジマのほうは最後までよくわからなかったです。
ギリギリの精神でやってきたところで僕が斜視を治ると言ったところで完全崩壊した感じがわかりました。
彼女はもう立ち直れないかもしれないですね。
母親も信頼してないし、第一娘がまったく風呂はいらないご飯食べない洗濯しないってなったらひきずってでも洗ってやれって思うもの。
再婚したことで母親もどこかおかしくなってるのでしょうか。
何か救いがあるのではと期待して最後まで読んだけど、なんだかなぁという気分でココで終わり?と思ってしまいました。
でもこれって本屋大賞になってたからいい本なんでしょうね。
どれだけひどいいじめがはびこっているのかを知るにはいい本だと思います。
流し読みはできない本
ストーリーに入り込んで読み込むというのとは違う種類の本ですね。
哲学的で長々説明セリフが入るので目が疲れていると読み飛ばしたくなる部分がありました。
コジマの考えてることはとても複雑で、悪いけど学校で浮いた存在になってもしかたないかもしれないとは思いました。
頭がいいともいえるけど頑固だし人の意見きかないし、その上風呂はいらないで汚いとか煙たがられてもしょうがないと。
いじめを肯定するつもりはないけど、ひどいことする必要はないけど最低限の人間としてのマナーというのを守るのも生きて行く上で大事だと思うのです。
コジマは貧乏で不潔だからいじめられていると思っていたけど、結局お母さんは再婚していい家に住んでるし不潔にするのも自分の意思だし、そういうことが原因だとしたら自分の責任なわけで。
僕のほうは斜視が原因と思っていたから治らないと思っていたししょうがないけど、なにが仲間なんだか?と思ってしまう。
不潔なのを変えたらいじめ側に屈するとかいう理屈もよくわからない。
自分が気持ちよく生きて行くために変えるという考え方はできないものか・・・
不器用な人間ってことなんでしょうか。
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